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血液検査値の見方ー栄養状態

栄養状態の見方

生命活動を行うエネルギーを作り出すうえで大切な栄養素は、疾患や治療、加齢が要因となり不足する。

低栄養状態は疾病の回復遅延や感染症などの合併症を起こすリスクを高めるため、以下のような栄養状態を客観的に表す指標をもとに、患者の栄養状態をアセスメントし、治療の必要性を見極めることが大切となる!

総タンパク(TP)

血清中には、アルブミンやグロブリンなど100種類以上のタンパク質が存在しており、それぞれが膠質浸透圧の維持や免疫など重要な役割を担っている。
これらすべてのタンパク質合わせた総量が、総蛋白(TP)である。

総タンパクの2/3を占めるアルブミンは、摂取したタンパク質をもとに合成されるので、タンパク質の摂取量が減ると、アルブミンとともに総タンパクも低値を示す。

基準値:6.7~8.3g/dl

TPが異常を認める場合
高値 脱水、慢性肝炎、自己免疫疾患、
多発性骨髄腫など
低値 低栄養、肝障害、ネフローゼ症候群など

血清アルブミン(Alb)

アルブミンは、総タンパクのところで前述したように、食事摂取したタンパク質をもとに肝臓で合成されるので、単純に、タンパク質の摂取量が減ると低下を示す。

アルブミンは、膠質浸透圧(こうしつしんとうあつ)を維持して、血管内に水分を留める働きがあるので、低栄養でアルブミンが低下することで細胞内に水分が浸透し、浮腫を引き起こす。
その他にも、アルブミンはカルシウムや脂肪酸、ホルモンなどと結合して必要な部位へ輸送する働きをしている。

基準値:3.8~5.3/dl

Albが異常を認める場合
高値 脱水
低値 低栄養、肝障害、ネフローゼ症候群など

ヘモグロビン(Hb)

赤血球の色素成分であり、全体の1/3を占めるモグロビンは、酸素を全身に届ける働きと不要な二酸化炭素を肺へ放出する働きがある。

ヘモグロビンは『鉄』が大事な構成成分となっているので、鉄分の摂取が減ると、貧血(鉄欠乏性貧血)を引き起こす。

基準値:男性13.5~17.5/dl
女性11.5~15.0g/dl

Hbが異常を認める場合
高値 真性多血症、ストレス、脱水など
低値 貧血、肝障害、出血など

総コレステロール(TC)

コレステロールは、脂質のひとつだが、ホルモンや胆汁生成の原料となる重要な物質である。

総コレステロール値は、食事や体内での代謝バランスが崩れると、変化するため、低栄養状態の場合には、血中の脂質(コレステロール)が減り、低値を示すことが多い。

基準値:120~219/dl

TCが異常を認める場合
高値 脂質代謝異常、ネフローゼ、
糖尿病、甲状腺機能低下症、
肝がん、肝硬変、
閉経後の高齢女性など
低値

低栄養、甲状腺機能亢進症、
アジソン病、肝炎、肝硬変など

血糖値(BS、Glu)

血液中には、乳頭、果糖、ガラクトースなどの糖類が存在するが、血糖値は血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度を表す。

血糖値は経口摂取した炭水化物・タンパク質・脂質などが影響しているが、血糖下げるインスリンや血糖を上げるグルカゴンの働きで血糖値は一定範囲内に保たれている。

しかし、極度に食事を摂らなかったり、薬や疾患の影響でホルモンが働くなったときに低血糖を生じる。

低栄養でも、糖分は摂取していたり、脱水の場合には、高血糖を示す場合がある。

基準値:70~109㎎/dl

血糖値が異常を認める場合
高値 糖尿病、甲状腺機能亢進症、
クッシング症候群、肝硬変
脳血管障害、肥満など
低値 下垂体機能低下症、低グルカゴン血症、
糖尿病薬の過剰摂取、激しい運動後、

電解質

低栄養状態の患者は、電解質異常を認める場合も多いため、合わせてチェックする。

ナトリウム(Na)

通常、Na(塩分)の摂取量が減ったとしても、腎臓でNaの再吸収が促進されるため、低Na血症を示すことはまずない。ただ、加齢や何らかの影響でNaの排泄が促されている場合に、低Na血症を引き起こすことがある。

基準値:137~145mEq/L

Naが異常を認める場合
高値 脱水、ナトリウム過剰
低値 水分過剰(心不全、腎不全など)
ナトリウム喪失性腎症、下痢、嘔吐など

カリウム(K)

野菜や果物などに含まれるカリウムの摂取量が減ると、低カリウム血症を引き起こす。また、低栄養で酸塩基平衡がアシドーシスとなるとカリウム値は上昇を示す。

カリウムは心筋を含めた神経伝達を行う重要な電解質なので、低栄養状態の時にはカリウム値の変化に注意する必要がある。

→高カリウム血症の病態生理

Kが異常を認める場合
高値 代謝性アシドーシス、慢性腎不全、
熱傷など
低値 カリウム摂取不足、嘔吐、下痢
アルカローシスなど

カルシウム(Ca)

低カルシウム血症を引き起こす原因はさまざまあるが、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの摂取量が減ると、カルシウム値が低下するため、低栄養のひとつの指標として確認する。

ちなみにビタミンDは、きのこや海藻類に含まれるビタミンD2や、魚類や卵黄に含まれるビタミンD3がある。また、太陽光(紫外線)を浴びることでビタミンDを生成することができる。

基準値:8.4~10.4/dl

Caが異常を認める場合
高値 副甲状腺機能亢進症、腎機能障害(腎不全など)
悪性腫瘍、多発性骨髄腫など
低値 副甲状腺機能低下症、アルカローシス
低栄養(ビタミンD不足)など

クロール(Cl)

ClはNaとともにNaClとして体内に存在しているので、Na濃度と並行して動きながら浸透圧を調整している。そのため、塩分の摂取量が長期的に減ったり、嘔吐や下痢、尿としてClの排泄が促された場合には低Na血症とともに低クロール血症を引き起こす

また、Clは酸塩基平衡を調整する重要なイオンでもあり、HCO3⁻(重炭酸イオン)とともに陰イオン濃度を一定に保っているため、HCO3⁻が増えればClは減り、HCO3⁻が減ればClは増えよう働く。

このように、酸塩基平衡にも影響する値なので、Cl値をチェックする場合には、アシドーシスやアルカローシスがないかも確認する必要がある。

基準値:98~108mEq/L

Clが異常を認める場合
高値 高Na血症、呼吸性アルカローシス(過呼吸など)
尿細管性アシドーシスなど
低値 低Na血症、アジソン病
腎不全、呼吸性アシドーシス

呼吸性アシドーシスだと、なぜクロールが低値となるのか?

呼吸性アシドーシスの場合、『代償機転(この場合、代謝性代償)』が働き、腎臓で酸塩基平衡を保とうとする。腎臓はHCO3⁻(重炭酸イオン:陰イオン)の産出を増やして、増えた酸を減らそうとするので、陰イオンのバランスを保つためにCl(陰イオン)は低下する。

血液データ以外にチェックすべき値

BMI

BMIは肥満・やせの状態を表す指標で、一般的に、BMI18.5~20以下は、低栄養のリスク群として考えられる。

BMIは、
体重(Kg)÷ 身長(m)²
で計算することができる。

例えば、
身長165㎝、体重60㎏の人のBMIを計算すると
60÷(1.65×1.65)=22.083…となる。

BMIの見方
やせ 18.5未満
普通体重 18.5~25未満
<標準体重はBMI22>
肥満 25以上
ただ、『やせ』だからと言っても低栄養というわけではなく、『普通体重』であっても低栄養でないとは言えない。

体重の減少率(%LBW)

%LBWは、健康時の体重から何%体重が減っているかを見ることができるので、BMIが正常範囲内であっても、著しい体重変化があれば低栄養のリスクを判定きる。

体重の減少率は、
(健康時の体重ー現在の体重)÷健康時の体重×100
で計算できる。

健康時の体重とは、6~12ヶ月間安定している体重のこと。

体重減少率の判定 表のタイトル
1ヵ月 3ヵ月 6ヵ月
中等度 3~5%未満 5~7.5%未満 7.5~10%未満
重度 5%以上 7.5%以上 10%以上

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