目次
前壁梗塞
前壁梗塞は、前壁中隔(心室と心房の間)梗塞、前壁梗塞、前壁側壁梗塞と梗塞部位により詳しく分けられることができるが、これらを支配する血管は、心臓の前壁を走行する左前下行枝(LAD)であり、LADが閉塞すると、前壁梗塞が起こる。15区画では#6~10にあたるところ。
(※前壁側壁梗塞になると、回旋枝も関係してくる)
前壁梗塞の心電図変化
前壁梗塞の場合には、下や横から心臓をみる四肢誘導よりも、体の正面から心臓をみている胸部誘導で変化を捉えやすい。
胸部誘導は図であらわすように、心臓を取り囲むように各誘導があるため、前壁梗塞であれば主にV2~V4で心電図変化がおこり、前壁中隔梗塞であれば、V1~V3であたりで変化があり、前壁側壁では、V4~V6で変化が及ぶことが想像できる。
前壁梗塞を詳しくみると、心電図変化を呈する部位は次のようになる。
- 前壁中隔梗塞…V1~V3
- 前壁梗塞…V2~V4
- 前壁側壁梗塞…V4~V6
- 広範囲の前壁梗塞(LMTの閉塞)…V1~V6
下壁梗塞
心臓の下壁を血流する右冠動脈(RCA)の閉塞により、下壁梗塞が起こる。
15区画では、#1~4にあたるところ。
下壁梗塞の心電図変化
心臓を下から覗き込んでいる誘導は、図であらわす通り、四肢誘導のⅡ、Ⅲ、aVFにあたる。つまり、下壁梗塞の時には、Ⅱ、Ⅲ、aVFでSTの上昇やQ波を捉えることができる。
側壁梗塞
側壁梗塞は、主に側壁をぐるっと回る回旋枝(LCX)の閉塞で起こる。
回旋枝は15区画では、#11~15にあたるところ。
側壁梗塞の心電図変化
心電図の変化をみてみると、側壁を見ている誘導は、四肢誘導でaVL、I、胸部誘導でV5,V6で、ここでST変化や異常Q波捉えることができる。
梗塞部位と心電図変化のまとめ
心電図異常 | 冠動脈 | 15区画 | |
---|---|---|---|
前壁中隔 | V1~V3 | LAD | #6~10 |
前壁 | V2~V4 | LAD | #6~10 |
下壁 | Ⅱ,Ⅲ,aVF | RCA | #1~4 |
側壁 | I,aVL,V5,v6 | LCX | #11~15 |