脳梗塞の治療

脳梗塞の治療

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治療のポイント

脳梗塞は時間の進行とともに脳細胞が壊死する。
そのため、早く治療出来ることで予後は大きく変わる。 脳梗塞の治療は薬物療法が基本だが、投与する薬剤も発症からの経過時間によって変わるので、発症からどれくらいの時間経過があるのか把握し、早急に治療を開始することが大切となる。

血栓溶解療法

t-PA(ティーピーエー)

適応:発症後4.5時間以内(2012年発表)
作用機序:血栓中でプラスミノーゲンをプラスミンに変える作用があり、 プラスミンがフィブリンを分解するため、血栓が溶解する。
禁忌:出血が疑われる場合(PT‐INR、APTTが延長している場合など)
投与方法:10%を1~2分かけて急速投与し、1時間かけて残りを点滴静注。

ウロキナーゼ

適応:中大脳動脈塞栓性閉塞では発症から6時間以内。
作用機序:プラスミンがフィブリンを分解するのは同じだが、t-PAが局所的に作用するのに対し、ウロキナーゼは全身性に作用するので、少々使いづらい。
禁忌:t-PAと同じ
投与方法:脳血管にカテーテルを入れ、ウロキナーゼを動脈投与。 ウロキナーゼで溶かすだけではなく、バルーンで血栓を破壊したりすることもある。

抗凝固療法

アルガトロンバン(商品名ノバスタン、スロンノン)

適応:発症48時間以内 病変部が1.5cmの超すアテローム血栓性脳梗塞。
作用機序:凝固因子を抑制し、血栓がつくられたり、大きくなるのを防止。
禁忌:著しい高血圧、出血の危険性のある患者
投与方法:1週間の点滴静注

へパリンナトリウム

適応:発症48時間以内。
作用機序:アンチトロンビンといく血液凝固阻害因子に結びついてその働きを強化する性質があり、フィブリンの凝固を抑制。新たな血栓を予防する。
禁忌:出血が疑われる場合。
※特にヘパリンナトリウムは脳出血のリスクが高く、有効性も確立していないため、推奨されている薬ではないが、心原性脳梗塞・進行性の脳梗塞がある場合や、著しい高血圧でアルガトロンバンが使用できない場合に使用される。
投与方法:点滴静注

抗血小板療法

アスピリン

適応:発症48時間以内
作用機序:血小板の機能を抑制し、血栓制しを予防する。神経症状の回復や再発予防にとても有効。
投与方法:160~300mg/日の経口投与

オザグレルナトリウム

適応:発症後5日以内
   心原性脳梗塞を除く脳梗塞
作用機序:血小板の機能を抑制し、血栓制しを予防する。運動機能の改善に有効だとされている。
投与方法:160mg/日 2週間の点滴投与

脳保護薬

エダラボン

適応:24時間以内、すべての脳梗塞に適応
作用機序:梗塞部位の周辺細胞までも傷つける活性酸素の働きを抑えて、脳へのダメージを最小限する。
投与方法:30mgを1日2回点滴静注。14日以内。
副作用:腎機能障害、肝機能障害の報告例あり

脳浮腫管理

グルセオールorマンニトール

適応:頭蓋内圧を伴う大きな脳梗塞
作用機序:脳梗塞により血流障害を起こすと、脳が浮腫する。その浮腫により、周辺の正常な細胞まで圧迫してしまう。グリセオールは、血液の浸透圧を上げるため脳細胞から水分を抜き取って、血中に多く流して尿として排泄する働きがある。
投与方法:1日数回点滴投与
副作用:高血糖、腎機能障害

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