インスリン不足によって、糖代謝異常が起こり高血糖状態となる代謝疾患。
インスリンは血中の糖を細胞に取り込む働きがあり、血糖値の上昇を感知すると、膵臓のランゲルハンス島β細胞から速やかにインスリンが分泌される。
正常な膵臓・インスリンの働きがあれば、血糖は一定に保たれているが、膵臓の働きが悪くなったり、インスリン自体の働きが悪くなると、血糖値が上昇、糖尿病を発症する。
糖尿病のうち5%が1型糖尿病。 若年者に多く、自己免疫異常により、インスリンを合成する膵β細胞が破壊され、インスリン分泌が著しく低下し、高血糖になる。 インスリンが絶対的に不足しているので、インスリンの注射が必要不可欠となる。
日本人95%が2型糖尿病。 肥満やカロリーの過剰摂取などの生活習慣により、多量のインスリンを分泌し続けた結果、インスリンの働きが悪くなる(=インスリン抵抗性)。 そのため膵臓はインスリン分泌量を増やしてそれを補おうとするが、膵臓自体にも無理がかかり、しだいにインスリンの分泌が減る(=インスリン分泌不全)。
・いずれかを別の日に2回以上以上満たすと糖尿病と診断。
・また、いずれかを1回満たし、①糖尿病の症状、②HbA1cが6.5%以上、③糖尿病網膜症いずれかを満たしていれば糖尿病と診断される。
糖尿病自体は命にかかわる疾患ではないが、生活や命にかかわる重大な合併症を起こす。
高血糖により、網膜の毛細血管がもろくなったり、動脈瘤を形成し、そこから大きな出血が起こると失明することもある恐ろしい合併症。 毎年3000人が失明している。
腎臓の糸球体では、血液をろ過し、尿をつくる大事な働きをしているが、ここも毛細血管の塊なので、網膜症同様、高血糖により血管がもろくなったり、動脈瘤を形成することで、ろ過機能が破綻し発症する。 尿をうまくつくれないということは、電解質の調整ができず、酸塩基平行も保つことができず、死に直結するため、一生人工透析を行わなければ生きていけなくなる。 糖尿病腎症により、毎年15000人以上透析導入している。
3大合併症のうち、最も早く表れるのが神経障害。 高血糖により神経が変性したり、神経を栄養する毛細血管の破綻による血流障害で生じる。神経障害は、末梢神経障害と自律神経障害がある。末梢神経である感覚神経と運動神経が障害されることにより、痺れなどの知覚異常を感じたり、進行して運動神経まで障害がでると、筋力の低下、麻痺を生じる。 自律神経は内臓・血管・内分泌を支配しており、呼吸・循環・代謝・消化、分泌、生殖にわたるまですべてに影響してくる。 また、心筋梗塞を発症しても痛みを感じられなかったりすることもあるため、突然死する危険性も潜んでいる。
1型糖尿病では、インシュリン療法を続けていかなければいけない。2型糖尿病では、食事療法・運動療法を行い、それでも改善がなければ内服、それでも改善がなければインスリン療法となる。
生活習慣が原因による2型糖尿病では、まず食事の見直しが必要。 過度な糖分・脂質を制限し、バランスのとれた食生活を目指す。
ブドウ糖消費のため、適度な運動を行う。 特に、ウオーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動がインスリン抵抗性を改善させるといわれている。
インスリンにも出現時間と、持続時間の違いによって5つの種類がある。