蓄尿バッグが紫色に…!?看護師が知っておきたいPUBS

目次

PUBS(紫色蓄尿バッグ症候群)

尿道留置カテーテルの畜尿バッグ(ウロガード)や管内が、紫色になることがある。
この現象は Purple Urine Bag Syndrome(PUBS) と呼ばれ、日本語では、紫色蓄尿バッグ症候群という。名前はそのままだが、現場では意外と知られていないことも多い。
長期留置カテーテル患者の約1割にみられ、便秘・細菌尿・アルカリ尿 などが関与する。

ウロガードを紫色にする正体

PUBSのイメージイラスト

尿そのものは黄色なのに、なぜウロガードや管内だけが紫色になるのか。

原因は、アミノ酸の一種であるトリプトファンの代謝産物と尿路内の細菌が作用することで2つの色素ができるため。

  • インジゴ(indigo)=青色
  • インジルビン(indirubin)=赤色

この赤と青の色素が混ざって、ウロガードやチューブに付着することで、紫色に見える。

そのため、変色といっても色合いは一定ではなく、青みの強い紫色や赤みの強い紫色など、見え方には違いがある。

どんな患者にPUBSが多い?

PUBSは、特に次のような患者にみられやすい。

  • 高齢者
  • 女性
  • 長期留置カテーテル使用中
  • 便秘がある
  • 寝たきり、活動性が低い
  • 脱水傾向がある
  • アルカリ尿
  • 慢性的な細菌尿がある

なかでも、長期留置 と 便秘は、PUBSの代表的なリスク因子。

紫色=尿路感染症、ではない

紫色になると、
「細菌尿だから尿路感染(UTI)?」
「抗菌薬が必要では?」
と思いやすい。ただ、ここは少し注意が必要。

長期留置カテーテル患者では、細菌尿そのものは珍しくない。

日本泌尿器科学会のガイドラインでも、尿道留置カテーテルでは30日後にほぼ100%で細菌尿がみられるとされている。

つまり、紫色は細菌の関与を示すサインにはなるが、それだけで治療が必要な感染症とは言えない。
そのため、ウロガードが変色していない患者と同じく、発熱や下腹部痛などの感染徴候がなければ、抗菌薬治療の対象にならないことが多い。

PUBSと尿路感染症のが大切

ウロガードが紫色なったときに、まず確認したいのは、全身状態。
次のような症状があれば、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)の可能性を考える。

  • 発熱
  • 下腹部痛
  • 腰背部痛
  • 悪寒
  • 尿混濁や悪臭の増強
  • バイタルサインの変化
  • 意識状態の変化
  • 全身倦怠感

大切なのは、紫色だけで尿路感染症と判断しないこと!
日々、症状を観察し、異常を見逃さない!

看護師の対応

ウロガードが紫色なったときに、紫色をどうにかすることよりも、患者の状態とカテーテル管理を見直すことが大切。

1.全身状態の確認

発熱、悪寒、疼痛、意識変化、バイタルサインの変化がないかみる。
「紫色になった」という情報だけで終わらせず、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)の可能性も考え、観察する。

2.便秘の確認

便秘はPUBSの代表的なリスク因子。
便秘を改善することで、紫色の変色が軽快したり再発しにくくなることもある。

  • 最終排便日
  • 便性状
  • 腹部膨満
  • 下剤の使用状況
  • 水分摂取量

などを確認し、必要時には排便コントロールを見直す。

3.カテーテル管理の見直し

PUBSだから特別な管理をするというより、普段の尿道留置カテーテル管理をもう一度見直す。

  • 尿は流れているか
  • チューブの屈曲や閉塞はないか
  • ウロガードは膀胱より低い位置にあるか
  • ウロガードが床についていないか
  • 接続部が外れていないか
  • 閉鎖式回路が保たれているか

4.必要時は交換を検討

紫色になったという理由だけで、必ずカテーテル交換が必要になるわけではない。

ただし、

  • 閉塞している
  • 汚染されている
  • 閉鎖式回路が保てていない
  • 尿の流出が緩慢

などの場合は、バッグやカテーテル交換を検討する。

5.留置継続の必要性を見直す

CAUTI予防でいちばん大事なのは、不要な留置を減らすこと。
必要がなければ早期抜去を検討する。

患者・家族に「尿バックの色が紫だけど大丈夫?」と聞かれたら

まず、ウロガードが紫色になると、

「血が混じっている?」
「感染している?」
「大丈夫なの?」

と不安になる患者や家族も多い。

もし看護師として対応する場合には、代謝産物と細菌の影響で色素ができて変色していること、よくある変化であること、感染症や緊急性が高い状態ではないこと伝える。

【例】
びっくりしますよね。尿中の成分と細菌の働きで出来た色素が付着して、紫色に見えています。
長く管を入れている方に、時々みられる変色で、基本的に心配はいりません。

まとめ

PUBSは見た目に驚く変化だが、紫色になったことだけで慌てて対応する必要はない。
バッグや管内の着色が濃くなると、尿の性状や尿量など、正直、看護師として「観察がしにくい」という問題点はあるが、対応としては、普段どおり感染徴候を確認し、カテーテル管理を見直すことが大切となる。

参考文献

  1. CDC. Catheter-associated Urinary Tract Infection (CAUTI) Basics. 2025. Centers for Disease Control and Prevention.
  2. CDC. Preventing Catheter-associated Urinary Tract Infections. 2025. Centers for Disease Control and Prevention.
  3. Nicolle LE, et al. Clinical Practice Guideline for the Management of Asymptomatic Bacteriuria. 2019. Infectious Diseases Society of America.
  4. Mahdi F, et al. Purple urine bag syndrome: a unique clinical case and literature review. 2024. PubMed Central.
  5. Pereira AP, et al. Purple Urine Bag Syndrome: A Rare Phenomenon Managed in Primary Care. 2024. PubMed Central.
  6. Basehi MF, et al. Purple urine bag syndrome: An unusual presentation of urinary tract infection. 2025. PubMed Central.
  7. 日本泌尿器科学会. 泌尿器科領域における感染制御ガイドライン. PDF掲載情報

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