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肺結核

肺結核とは?

結核菌が肺に定着することで起こす感染症。
現在の日本でも、年間1万8,000人が結核を発症し、約2,000人が死亡に至る。

結核は、TB(Tuberculosi/テーベ―)と略されて呼ばれることが多い。

肺結核と肺外結核

肺結核と肺外結核

結核は、呼吸器疾患のイメージが強いが、肺以外にもリンパ節や胸膜、骨や関節、腸、腎臓など全身至るところに病巣を形成する。

ほとんどは、肺に病巣を形成する『肺結核』だが、約1割は、肺以外で病巣を形成する『肺外結核』である。

肺結核の原因と感染経路

結核菌は、感染者の咳とともに飛沫し感染(飛沫感染)する。
咳(飛沫)の水分が蒸発してからは、空気中に漂う結核菌を吸い込むことで感染(空気感染)を起こす。

感染から発病まで

結核菌を吸い込んだとしても、免疫が働くため、感染まで至らないことが多い。ただ、約30%は免疫機構を逃れて、結核菌が肺に定着することで感染を起こす。

結核菌の感染メカニズム

もし感染しても、約90%の人は一生発症することのない不顕性感染で終わるのだが、免疫が落ちている場合には、結核を発病してしまう。

結核の発症

免疫機構が未熟な乳幼児や、病気で免疫が落ちている人に感染を起こした場合には、結核菌はすぐに増殖しはじめ、感染後2年以内(6ヵ月以内が多い)に発病する(初感染結核/一次結核)
また、数年~数十年後発病しなくても、加齢や病気など免疫力が落ちたタイミングで発病に至ることがある(既感染発病/二次結核)

肺結核の症状

2週間以上続く咳嗽、喀痰(血痰)、発熱が特徴。

重症化すると、倦怠感、息切れ、喀血(血を吐く)、呼吸困難をまねく。

結核の合併症

臓器不全

結核菌感染により肺の炎症が続くと、肺の組織は壊死し、重症化すると呼吸不全を招く。
また、血行性・リンパ行性に結核菌が広がり、腎臓・肝臓・脾臓・胸膜・腹膜・髄膜などの臓器で炎症が続けば、どんどん組織を破壊して、いずれは臓器不全を招く。

結核菌が血行性に全身に散らばって、多数(2臓器以上)の結核病巣を形成した状態を『粟粒結核(ぞくりゅうけっかく)』と言う。
早期に発見・治療を開始すれば、回復全結核の1%と発生率は低いが、致死率は20%に及ぶ。

結核性髄膜炎

各臓器の中でも、髄膜に及んだ場合は、特に重症化しやすく、致死率は30%に及ぶ。例え、治癒できても難聴、脳神経麻痺、認知機能低下など重い後遺症を残す可能性が50%近くある。小児の場合は、てんかん発作や脳梗塞、知的障害が残ることも。

敗血症

感染により、炎症物質(サイトカイン)が過剰に放出され、臓器不全を招いた状態のこと。

具体的には、サイトカインは凝固反応を活性化する働きがあるため、臓器内に微小血栓が形成され、虚血によって臓器不全を引き起こす。

この時、凝固因子が多量に消費されることで、結果的に凝固因子の不足を招くことになり、血栓形成と出血が無秩序に起こる播種性(はしゅせい)血管内凝固症候群(DIC)を合併することがある。
さらに、サイトカインは血管平滑筋に作用し、血管透過性の亢進や血管拡張を起こすため、血圧低下から敗血症ショックに陥ることも!

結核の検査

胸部X線検査

病期により所見はさまざまだが、主に以下の所見がみられる。

顆粒影
通常黒く写る肺野に、数㎜以下の陰影が多数みられる。
湿潤影の空洞化
感染などの病巣形成や水分貯留でみられるモヤモヤした湿潤影の中に丸い空洞がみられる。これは、結核により肺細胞が壊死して体外に排泄したことで起こる。

胸部CT検査

X線画像で、上記のような特徴的な所見があった場合には、精密検査として胸部CTを撮影する。
CT検査でも、X線同様、湿潤影に空洞化がみられる。

喀痰塗抹検査

痰を採取し、結核菌を含む抗酸菌の有無を調べる検査。
検査結果は、1時間以内にわかる。

抗酸菌とは?

抗酸菌には、染色すると脱色されにくい特徴をもつ細菌類の総称。
結核菌の他、非結核性抗酸菌、らい菌などがある。

抗酸菌を蛍光法やチール・ネールゼン法といった方法で染色し、顕微鏡で観察する。観察された結核菌の量は、従来、ガフキー号数で示されていたが、現在は、より簡便な記載法が用いられている。

記載法
蛍光法
(倍率200倍)
チ―ル・ネールゼン
(倍率1000倍)
相当する
ガフキー号数
0/30視野 0/300 G0
± 1~2/30 1~2/300 G2
1+ 1~19/10 1~9/100 G3
2+ ≧20/10 ≧10/100 G4
3+ ≧100/1 ≧10/1 G9

数字が大きいほど、排菌量が多くなるため、他人への感染リスクが高くなる!

喀痰培養検査

抗酸菌を培養する検査で、塗抹検査よりも感度が高く、より精密な結果を得ることが出来る。ただし、検査結果が出るまで6~8週間を要する。

遺伝子検査(核酸増幅法)

抗酸菌の遺伝子を検出することで、抗酸菌の種類を同定することができる!(結核菌か非結核性菌かわかる)
培養は不要なので、1~3日で結果が出る。

結核の予防法

BCG

結核の感染や重症化を予防するワクチンのこと。
結核の毒性を弱めた生ワクチンで、接種することで、軽い結核を起こし、抗体を形成させる。

特に抵抗力が弱く、重症化しやすい乳幼児に有効で、生後5ヶ月~8ヶ月までに接種するよう推奨されている。

予防内服

これは、結核に感染後、発症を予防する方法
「潜在性結核感染症(LTBI)の治療」とも呼ばれ、抗結核薬であるイソニアジド(INH)を6ヶ月~9ヶ月間内服することで、非内服時より発病を80%以上予防できるとされている。

肺結核の治療

治療の基本は、多剤併用による化学療法で、体内で増殖する結核菌の増殖を抑えながら殺菌する。

使用される抗結核薬

この4剤併用療法が主流となっていて、治療開始2ヶ月は4剤、その後4ヶ月はINH・RFPの2剤(+EBまたはSM)の内服を継続する。適切な治療を行えば再発率は1~2%と言われている。

抗結核薬の副作用

イソニアジド(INH)
末梢神経炎肝機能障害、SLE様症状(筋肉や関節の痛み、顔や体の発赤、紅斑、陳パ節の腫れなど)、皮膚症状(発赤・発疹・皮膚の痛みなど)、間質性肺炎など
リファンピシン(RFP)
肝機能障害、腎機能障害、胃腸障害、血小板減少(出血傾向)、発熱・発疹など
ピラジナミド(PZA)
肝機能障害、胃腸障害、高尿酸血症(関節痛)、発疹、発熱など
エタンブトール(EB)
視神経障害(視力低下、眼のかすみ、色覚異常など)、胃腸障害、知覚障害など
ストレプトマイシン(SM)
内耳神経障害(難聴・耳鳴りなど)、腎機能障害、発熱、発疹など
6ヵ月という長期にわたり抗結核薬を内服するため、副作用出現のリスクが高い。そのため、事前に肝機能・腎機能をチェックしたり、眼科や聴力の検査を行う。また予防薬を投与したり、高齢者や腎障害のある患者には、投与量の減量を検討することもある。

結核菌の薬剤耐性について

同じ薬を長く使うと、その薬が効かない菌(薬剤耐性菌)ができる。
結核の薬剤耐性菌も、自然界に一定の確率で存在するため、もし抗結核薬を単独で投与した場合、投与した薬の耐性菌は殺菌されずに増殖することになる。

結核菌の薬剤耐性菌について

多剤併用した場合には、薬剤耐性菌も、他の薬剤で殺菌することができるため、すべての結核菌を殺菌することができる!
ただし、多剤併用療法中に、不規則な内服や中断をした場合、薬に耐性ができてしまうので、適切に内服することが重要となる!

多剤耐性結核菌とは?

最も強力で治療の軸となるINHとRFPの2剤に耐性をもつ結核菌が、多剤耐性結核菌と呼ばれる。
多剤耐性結核を発症した場合、第二選択薬を使用し治療することができるが、治癒率は50%程度と言われ、死亡に至るケースも多い。

結核治療で大切な『DOTS』

DOTSとは(Directly Observed Treatment, Short-Course:直接服薬確認治療)の略で治療薬を確実に内服してもらうために、WHOが提唱している戦略。

具体的には、医療者が直接患者さんに薬を手渡して、内服するのを見届けるというシステム。不規則な内服や薬の中断で生じる耐性菌の発生を防ぎ、確実に治療を行うために有効と言われている。

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