心臓は全身に血液を送るポンプとして重要な役割を担っているが、心臓自体もたいへんな運動量であり、栄養や酸素を含む血液を必要としている。
実際に、心拍出量の約5%は心臓の血流、つまり心筋を栄養する冠動脈へ送られている。
この冠動脈は、大動脈の基部にあるバルサルバ洞というところから2本、右冠動脈(RCA)と左冠動脈(LCA)が出ている。
大動脈から分岐した左冠動脈(LCA)は、左冠動脈主幹部(LMT)から、前壁を通る左前下行枝(LAD)、側壁・後壁を通る回旋枝(LCX)の2本に分岐する。
つまり、心臓を血流する冠動脈は右冠動脈(RCA)、回旋枝(LCX)、左前下行枝(LAD)の3本となる。
AHA(アメリカ心臓協会)は、冠動脈主要3枝を、さらに#1~15に分類していて、カルテや検査結果でも、この番号で病変部位を示されることが多く、この番号から、どの枝に病変が起きているのか把握できるようにしておく!
右冠動脈(RCA)の#1~4が下壁を血流する。
#1右冠動脈(近位部)
#2右冠動脈(中央部)
#3右冠動脈(末端部)
#4AV房室結節動脈…2手に分かれて上にいく方
#4PD後下降枝…2手に分かれて下降する方
左冠動脈主管部(LMT)~左前下降枝(LAD)の#5~10で前壁を血流する。
#5左冠動脈主管部(LMT)
#6左前下行枝(近位部)
#7左前下行枝(中央部)
#8左前下行枝(末端部)
#9第一対角枝(D1)
#10第二対角枝(D2)
左回旋枝(LCX)の#11~15で側壁・後壁を血流する。
#11左回旋枝(近位部)
#12純縁枝(OM)
#13左回旋枝(末端部)
#14後側壁枝(PL)
#15後下降枝(PD)
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