血圧とは?
血流により血管内壁にかかる圧力のこと。
なぜ、血圧があるのかと言うと、心臓から拍出された血液は、体の隅々まで血液を届けなければならないため、一定以上の圧力が必要となる。
この血圧があることで、必要な酸素や栄養素を各臓器に届けることができ、また不要となった二酸化炭素や老廃物を運び去るすることができる。
収縮期血圧と拡張期血圧
そもそも、血液は、心臓の収縮で送り出して、大動脈弁が閉じた後は、心臓からの圧力はなくなってしまうため、血管は自らの弾性で血管に圧力をかけて末梢へと血液を送っていく。
収縮期・拡張期とは、心臓の収縮期と拡張期のことで、心臓がぎゅっと収縮したときに動脈の血管にかかる圧は、一番高い圧となり、これを収縮期血圧と言う。
心臓の拡張期には、大動脈弁は閉じているため、心臓からの圧は血管壁には、かからず、全身を流れる血液も、心臓に流れ込んでいるため一番少なくなるため、血管にかかる圧は一番少ない。しかし血管にかかる圧はもちろんゼロになるわけではなく、血管の弾性により生じた収縮力が血管にはかかるため、その収縮により血液は押し流されて、その分の圧力が血管内壁にはかかり、この圧が拡張期血圧となる。
血圧が変化する理由
血圧は、心臓から送り出される血液量(1回拍出量)と、末梢血管抵抗(血管の弾性)で決まる。
動脈硬化を例に挙げると、動脈硬化では血管は固くなっているため、伸びが悪く、心臓から血液を拍出時に血管にかかる圧は強くなるため収縮期血圧が上昇する。一方で、拡張期血圧は、動脈硬化で弾性が低下している血管では、戻るための収縮力が弱いため、血液を押し出す力も弱く、拡張期血圧が低下する。
この変化は、血管の老化により60歳以降、生理的に訪れる変化であり、高齢になるに従い、収縮期血圧と拡張期血圧の差(脈圧)が大きくなる。
しかし、太い動脈の動脈硬化では、拡張期血圧が低下するのに対し、末梢動脈の動脈硬化が進行すると、拡張期血圧が上昇する。
これは、末梢動脈の閉塞により、太い動脈の血液が滞ると、相対的に動脈内の血液量が増加し、血管への圧力が高くなるため、拡張期血圧が上昇が起こる。
この他、交感神経の緊張により末梢動脈の収縮や、肥満、メタボなどの生活習慣でも拡張期血圧が上昇するとされている。
血圧の測定方法
1,マンシェットの下縁を肘から1~2㎝上になるようマンシェットを巻く。
このとき、マンシェットに指が1~2本入る程度にする。
2,肘から先の力を抜いてもらい、前腕を心臓の高さ(第四肋間)においてもらう。
3,3本または2本の指で橈骨動脈を触知しながら、送気する。
脈が触れなくなってから、さらに20~30mmHg加圧し、ゆっくり減圧する。最初に拍動を感じた時の値が収縮期血圧と推定され、触知した後は、完全にマンシェットの空気を抜く。
4,上腕動脈を触知し、触知できた部位に聴診器を軽く当て、触診で測定した収縮期血圧より20~30mmHg高いところまで加圧する。
5,そこからゆっくり減圧し、最初に血管雑音(コロトコフ音)が聞こえた値が収縮期血圧となる。
6,そのままゆっくり減圧を続け、コロトコフ音が聞こえなくなった値が拡張期血圧となる。
7,測定を終えたらマンシャットの空気を素早く抜き、マンシェットを外す。
8,患者の衣類や体位を整え終了する。
血圧の評価
高血圧の定義
収縮期血圧140mmHg以上
拡張期血圧90mmHg以上
どちらか超えていれば高血圧となる。
高血圧の重症度
収縮期血圧140~159mmHg
拡張期血圧90~99mmHgどちらかあてはまれば
軽度高血圧
収縮期血圧160~179mmHg
拡張期血圧100~109mmHgどちらかあてはまれば
中等度高血圧
収縮期血圧180以上
拡張期血圧110以上どちらかあてはまれば
重症高血圧と分類される。
また、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg未満で、収縮期のみ高い場合、収縮期高血圧と呼ばれる。
低血圧の定義
低血圧は高血圧と違い、きちんとした定義はないが、一般的に収縮期血圧90mmHg以下、または普段の収縮期血圧より30mmHg以上低くなった場合を低血圧と評価することが多い。