目次
貼付剤(ちょうふざい)とは?
皮膚に貼ることで、経皮的に薬を吸収させて薬効を期待する薬。
貼付剤の特徴
貼付剤の利点
- 貼付により薬効が長時間(12~72時間くらい)持続する
- 直接体循環に入るため、肝臓での初回通過効果を受けない
初回通過効果とは?
薬物が全身をめぐる前に、肝臓で受ける代謝のこと。この代謝によって多くの薬は薬物成分の一部が失われて薬の作用が弱くなる。
- 一定の血中濃度を保てる
- 除去することで、すぐに与薬を中止できる
- 経口摂取困難な患者にも与薬可能
- 消化器の負担がかからない
- 食事の影響をうけない
貼付剤の欠点
- 薬物の吸収が遅い
- 貼付により、皮膚剥離・接触性皮膚炎を生じることがある
- 血中濃度が一定のため、耐性ができる
- 貼付を中止しても、薬効の消失が遅い
貼付剤の種類
テープ剤(経皮吸収性剤)
貼付した部位から経皮的に薬を吸収させて、血液を介して全身への作用を期待する薬。
狭心症治療薬 | フランドルテープ ニトロダームTTS |
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気管支拡張薬 | ホクナリンテープ |
局所麻酔薬 | ユーパッチテープ |
麻薬性鎮痛薬 | デュロテップパッチ |
湿布剤
炎症や疼痛がある部位に薬剤を貼付し、局所的に薬効を期待する薬。
温湿布 | MS温シップ |
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冷湿布 | MS冷シップ |
パップ剤 | ロキソニンパップ |
貼付剤の貼付部位
湿布剤は局所的な効果を期待するもので、効果を期待する部位に貼付すれば良いのだが、テープ剤はいくつかの留意点があり、主に次の部位に貼付する。
貼付部位の留意点
- 剥がれにくい部位を選択する
- 角質が厚くない部位を選択する(足の裏はダメ)
- 創傷がある部位は、吸収率が変化するため貼付しない
- 患者が剥がしてしまう場合は、手の届かない部位に貼る
- 皮膚損傷を避けるため、前回とは別の部位に貼る
貼付剤貼付の看護手順
必要物品
- 貼付剤
- トレイ
- 油性マジック
- ディスポ手袋
- 処方指示箋
- 必要時、保護フィルムや医療法テープ
手順・手技
- 処方指示箋を見ながら、必要物品を準備する。
- 必要物品をもち患者の元へ行く。
- 患者に目的と薬の内容を説明。
- 患者にフルネーム・生年月日を名乗ってもらうか、バーコードで本人確認を行う。
- 古い貼付剤をはがし、皮膚トラブル(発赤・発疹・水泡・掻痒感など)がないか確認する。
- 貼付部位を決めたら、貼付部位の皮膚を清拭して、皮脂や汗を取り除く。
- 貼付剤に貼付する日時を油性マジックで記入し、貼付剤を貼る。
- 患者が自分で剥がしたりする場合には、手の届かないところに貼るか、医療用テープやフィルム剤を使って固定する。
- 患者の衣類を整え、後片付けを行う。
- アレルギーなどの副作用の観察を行う。