呼吸音とは?
呼吸音とは、呼吸運動により、気管支や肺胞で聞かれる音のこと。
ちなみに、副雑音は正常では聞かれない気管支や肺胞で聞かれる音のことで、ラ音や胸膜摩擦音がある。
呼吸音の聴取方法
- 静かな環境で聴診する
呼吸音は小さな音なので、周囲の音で聞こえないことがある。 - 聴診器は膜型(大きい面の方)を使う
比較的、高調音なので膜型で聴取する。
反対のベル型は低張音(心音など)の聴取時などに使う。 - 左右交互に聴取する
左右の呼吸音の大きさを区別するためにも、左右交互に聴取する。 - 1か所1呼吸以上聴取する
吸気・呼気のごく一部でしか異常音を聴取できない場合もあるため、最低でも1サイクル聞きおえてから聴診器を次に移動させる。 - 口開けて大きめの呼吸を繰り返してもらう
口での摩擦音も聴診器に届いてしまうため、口をすぼめているとそこで発生する音も聴取できてしまうので、余計な音を発生させないためにも口を開けて呼吸してもらう。
呼吸音の評価
聴診部位と肺の位置を考える
呼吸音は、基本的に気道や肺胞に空気が入ることで起こる気流が音として聞こえてくる。この音は、聴診器の真下の音だけではなく共鳴する音も拾うため、音の特徴からどこの音が聞こえているのか、判断しなければならないため、きちんと聞こうとすると意外に難易度が高い看護技術!
気管支の音(気管支音)、気管支から肺胞の音(気管支肺胞音)、肺胞の音(肺胞音)の3つの部位で、それぞれ音の特徴があるため、ことの音の特徴と、肺の解剖からどこの部位を聴診しているのか考えていく。
気管支音
気管直上とその周辺で聴取可能。
吸気と呼気の長さは、1:2で呼気の方が長く聴こえるのが特徴で、音は、空気が声門部を流れるときに渦状に生じるので大きく、高く聞こえる。
吸気と呼気の間に一瞬止まった瞬間があるのも特徴。
気管支肺胞音
第2肋間または第3肋間の胸骨縁で聴診できる。
吸気と呼気の長さは、1:1でほぼ同じ長さで聴かれる。
音の大きさ・高さは、気管支音と肺胞音の中間くらい。
肺胞音
肺底は、前面で第6肋骨付近まで、背面で第10胸椎棘突起の高さまであるので、その範囲であれば聴診可能。
吸気と呼気の長さは2.5:1で吸気の方が長く聴こえる。音は、低く小さい。
胸水や誤嚥したものは、重力の関係で下に貯留するため、下葉で最もラ音が聴取しやすいのだが、上の図からわかるように、前面からだと、下葉(緑の部分)を聴診できる部位はごくわずか。そのため、前からだけではなく、背面からの聴診がとても重要となる。
副雑音の種類
1、連続性ラ音
・笛声音(Wheeze:ウィーズ)
呼気時に聞かれる高調音。
『ヒューヒュー』『ピーピー』
細い気管支の狭窄によるもので、気管支喘息や軌道狭窄時に聴かれる。
・いびき様音(rhonchi:ロンカイ)
呼気時に聞かれる低張音。
『グーグー』『ブーブー』
太い気管支の狭窄によるもので、痰の貯留時や腫脹により聴かれる。
2、断続性ラ音
・捻髪音(fine crackle:ファインクラックル)
吸気終末に聞かれる細かい音。
『パチパチ』『パリパリ』
線維化した肺が膨らむときの音で、肺線維症・間質性肺炎で聴かれる。
・水泡音(coarse crackle:コースクラックル)
吸気時に聞かれる粗い音。
『ブツブツ』『ゴロゴロ』
水の中で気泡がハジける音で、細菌性肺炎や肺水腫で聴かれる。