ERBDの目的
総胆管の狭窄部・閉塞部にステントを留置して、胆汁の流出経路を確保する。
ERBⅮの適応
- EST後、乳頭部への結石嵌頓予防
- 膵内胆管狭窄、胆管結石、胆管癌、乳頭部癌
ERBDの方法
ERCP同様、鎮静剤投与後に口から十二指腸へ内視鏡を入れ、ファーター乳頭より造影剤を入れて透視する。 狭窄部位や長さを評価し、金属製またはプラスチック製の胆管ステント(ERBDチューブ)を留置。
※その時、ファーター乳頭の出口を広げるためにEST(乳頭括約筋切開術)も一緒に行う。(出血リスクが高い患者には行わないことがある)
ERBDチューブの種類
金属製
・自己拡張型で、徐々に拡張して1週間で1cm(30Fr)まで押し広げる。
・閉塞しづらい。
・長期留置可能。
・網性のものでは、癌がめり込み閉塞する場合がある。
プラスチック製
・ブタのシッポのような形をしていて、抜けづらい。
・2.3mm~3.3mm(7~10Fr)で細く、胆泥で閉塞しやすい。
・3~4カ月ごとの交換が必要。
ERBDの合併症
急性膵炎
ESTをしなかったり、切開部が小さかった場合に、ステントが膵管口を圧迫して急性膵炎を起こす可能性がある。
胆管穿孔、十二指腸穿孔
ステントによる穿孔は、後腹膜や遊離腹腔に穿孔する。 ステントは径が大きく、緊急手術を要する可能性が高い。
ステント閉塞、逸脱
ステント内が胆泥や癌細胞で閉塞したり、ステントが逸脱によりドレナージ不良となると、 肝機能障害や黄疸、胆管炎を起こす。
ESTに伴う合併症
EST(乳頭括約筋切開術)を一緒に行った場合には、出血・膵炎・胆管炎・十二指腸穿孔を起こすことがある。
ERBD後の看護
合併症に対する観察と対応
急性膵炎
腹痛・背部痛・発熱や、腹膜刺激症状などの観察を行い、通常翌日に採血をしてアミラーゼ値を確認するため、アミラーゼ値や炎症データと照らし合わせてアセスメントする。※アミラーゼ値が多少上げっていても腹部症状もなく元気そうであれば問題ないが、アミラーゼ値が正常でも顔色不良や強い腹痛を伴う場合には、注意が必要となる。
重症化すると、致死的な合併症となりうるため、異常を認めた場合には、早急に医師へ報告する。
胆管穿孔・十二指腸穿孔
膵炎だけではなく、穿孔の危険性もあるため、腹部症状と全身状態の観察を行い、強い腹痛や腹膜刺激症状を伴う場合には、医師へ報告する。
ステントの閉塞、ステント逸脱
留置直後に起こることは少ないが、もし閉塞したまま放置すると重篤な状態となりうるため、ERBD後の肝機能やビリルビン値、黄疸の有無、バイタルサインや腹部症状の観察を行っていく。
胆管炎を併発している患者の観察
胆管結石嵌頓や狭窄による黄疸・胆管炎の予防目的でERBDを挿入した場合など、もともと患者の状態が安定している場合はいいが、検査前から黄疸や胆管炎、肝機能障害を伴う場合には検査後の症状も注意深く観察する。
腹痛・黄疸・発熱に加え、閉塞性化膿性胆管炎(胆管内に膿性胆汁が充満した状態)では、意識障害、ショックを伴い、致死的な状態となりうるため、異常がある場合には夜間でも早急に医師へ報告する。