血液検査値の見方②肝機能

目次

肝機能の検査値は何を示すのか

肝機能の検査値は何を示すのか

肝臓は、多くの物質の代謝・合成・排泄に関与しているため、肝機能を示す検査値はたくさんある。
大まかに見てみてると、肝機能を示す値は、肝臓の組織に存在する物質と、肝臓で作られる物質に分けられる。
肝障害が起きると、肝臓害に含まれる組織は、破壊されて血中に漏れ出るため、上昇を示し、肝臓で作られる物質は、作る能力が低下するため、低下を示す。

肝臓に含まれる酵素

異常時上昇を示す。

AST(GOT)

アミノ酸の代謝に関わる酵素で、肝臓以外にも、心筋、骨格筋、腎臓、赤血球に存在している。これらのどの組織に障害を受けても、血中にASTが漏れだし値が上昇する。
そのため、特異性は低く、ALTなどその他の値と見比べながら肝機能を評価する。

基準値:10~40IU/L

ALT(GPT)

ASTと同じく、アミノ酸の代謝に関わる酵素。
主に肝細胞中に存在する酵素で、ASTよりも特異性がある。

基準値:5~45IU/L

上昇肝硬変、肝炎、肝機能障害
心筋梗塞、心筋炎
胆石・胆道炎、胆管がん、胆管結石
キンジストロフィ、横紋筋融解症など
低下問題なし
AST・ALTが異常を認める場合

ALP(アルカリホスファターゼ)

アルカリ性の環境の中で、リン酸化合物(エネルギー代謝に重要な役割をする)を分解する酵素。
これは、ほとんどの臓器に存在しているが、構造によりALP1~6に分けることができて、その中でALP1とALP2が肝臓由来の形になる。
ALPが高かった場合、6種類のうちどれが上昇しているのか詳しく調べることができる。
ちなみにALP3は骨でも作られるため、骨代謝異常、成長期でも数値が上がる。

基準値:80~260IU/L

上昇肝機能障害、肝硬変、胆道系疾患など
低下甲状腺機能低下症など
ALPが異常を認める場合

γ-GTP

解毒作用に関係する酵素で、肝臓以外にも腎臓・膵臓に含まれる。
アルコールに反応しやすく、アルコール性の肝障害ではグンと数値が上がりやすく、またアルコールを控えればすぐに下がる。世の中のお父様方がとても気にする検査値である。
正常値は10~50だが、アルコールを多量に飲み続けると、500、600、1000以上なんてこともありえる。

基準値:10~50IU/L

上昇アルコール性肝障害、肝炎
肝硬変、肝がん、胆汁うっ滞
低下問題なし
γ-GTPが異常を認める場合

LDH(乳酸脱水素酵素)

糖類の代謝に関わる酵素で、肝臓以外にも腎臓、心筋、骨格筋など多くの組織に存在している。LDHもALPと同じく、存在している部位で構造が異なり、LDH1~5のうちLDH5が肝臓に由来している。

基準値:120~245IU/L

上昇<LDH1、2>
悪性貧血、溶血性貧血、心筋梗塞
<LDH2、3>
白血病、悪性リンパ腫
<LDH5>
肝細胞がん、肝臓転移性がん、急性肝炎
低下問題なし
LDHが異常をみとめる場合

肝臓でつくられる物質

異常時低下を示す。

アルブミン(Alb)

肝臓で合成されるタンパク質のひとつで、血液の水分を血管内に留める働きがあるため、アルブミンが低下した時には、血管から水分が漏れだし、浮腫や腹水を引き起こす。

基準値:3.8~5.3g/dl

上昇脱水
低下肝機能障害、肝硬変、肝炎
低栄養、ネフローゼなど
Albが異常を認める場合

総たんぱく(TP)

総たんぱくは、人の血液に存在しているすべての蛋白を合わせたもので、約70%はアルブミンで、その他20%は生体防御に関係する免疫グロブリンで構成されている。そのため、肝障害でアルブミンが低下すると、必然的に総たんぱくも低下する。

基準値:6.7~8.3g/dl

上昇脱水、感染症など
低下肝機能障害、肝硬変、肝炎
低栄養、ネフローゼなど
TPが異常をみとめる場合


プロトロンピン時間(PT/PT-INR)

プロトロンビンは、出血時に肝臓で作られる凝固因子で、止血の中心的な役割を担っている。肝機能が低下すれば、プロトロンビンを作る能力も低下するため、プロトロンビン時間(出血が始まってプロトロンビンが作られるまでの時間)は延長する。

正常値:<PT>9~15秒<PT-INR>1.0

延長凝固因子欠乏症、ビタミンK欠乏症
肝機能障害、DIC、
抗凝固剤など
短縮妊娠や高齢など生理的な変動
※特に短縮しても問題はない。
PTが異常を認める場合

コリンエステラーゼ(ChE)

肝臓のみで作られる酵素で、タンパク質を作り出す働きがある。
そのため、肝臓のみで作られるアルブミンやプロトロンビン時間(PT)と同様に検査値が変動するのが特徴。

基準値:211~466IU/L

上昇ネフローゼ、脂肪肝
甲状腺機能亢進症
低下肝機能障害、肝硬変、肝炎、肝がんなど
ChEが異常を認める場合

血小板(PLT)

血小板を作るトロンボポエチンという物質を肝臓で作っているため、肝機能が低下するとトロンボポエチンの産出が低下し、血小板数が減少する。
また、肝硬変の場合には、門脈圧亢進により、肝脾腫が起こり、脾臓で貯蔵している血小板の貯蔵量の増加と、破壊の亢進が起こり、血中の血小板数が減少する。

基準値:15~34×10⁴/µL

増加体内で血栓が形成されている可能性あり。
脳梗塞・心筋梗塞・四肢動脈血栓など
減少出血傾向
血小板数が異常を認める場合

肝臓で代謝される物質

ビリルビン

ビリルビンは、古くなった赤血球が壊されたもので、間接ビリルビン(I-Bil)として肝臓へ運ばれる。
間接ビリルビンは、そのままの形だと有害で排泄できないため、肝臓で無害で排泄しやすい直接ビリルビン(D-Bil)へと変換され、胆汁中に排泄される。

肝臓障害や胆道閉塞がおきると、直接ビリルビンの排泄が滞り、血中にビリルビンが漏れだすため、直接ビリルビンが上昇する。
直接ビリルビンや、間接ビリルビンが上昇すれば、その総和である総ビリルビン(T-Bil)も必然的に上昇する。

基準値
総ビリルビン(T-Bil):0.2~1.0㎎/dl
直接ビリルビン(D-Bil):0.0~0.3㎎/dl
間接ビリルビン(I-Bil):0.1~0.8㎎/dl

I-BilD-Bil
上昇赤血球が多く壊される時
(溶血性貧血、巨赤芽球性貧血など)
肝機能障害
肝炎
胆汁うっ滞
低下問題なし問題なし
ビリルビンが異常を示す場合

検査値は、測定方法や測定機器、男女によって差があります。
各施設での正常値を確認するようにしてください。

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