目次
虚血性心疾患とは?
冠動脈がなんらかの原因(ほとんど動脈硬化)で狭窄・閉塞してしまい、酸素需要に見合った血液を心筋へ送れず、虚血に陥った状態。
虚血性心疾患の機序と病態
1、生活習慣・基礎疾患により血管内皮が傷つく
血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)が産出されるのだが、これが重要な働きをしていて、血管拡張、血小板凝集抑制作用、白血球などの湿潤(周囲の組織を破壊して組織内に入り込むこと)を防ぐ作用がある。
しかし、基礎疾患や生活習慣により、血管に繰り返し負担がかかると、血管内皮細胞が傷つきNO産出が低下する。
2、一酸化窒素産出低下により、動脈硬化が進む
NO産出が低下すると、傷ついた内膜にはLDL(リポ蛋白)や死んだマクロファージが入り込み、それらが結果的に、脂質たっぷりのやわらかい物質、プラーク(アテロームともいう)を形成する。この病態を動脈硬化という。
この動脈硬化で血管壁が狭くなると、労作性狭心症を引き起こす。
3、プラークに傷がつくと急激な狭窄・閉塞を起こす!
プラークが形成されて血管壁が狭くなっているところを、血液が通ることで、プラークにも圧力がかかっている状態となる。
このとき、プラークに傷がつき血栓が形成されると、急激な狭窄・閉塞が起きる。この病態はACS(急性冠症候群:心筋梗塞や不安定狭心症のこと)と呼ばれ、冠動脈の閉塞から心筋壊死に至る非常に危険な状態となる。
虚血性心疾患の分類
慢性冠動脈疾患
労作性狭心症
アテローム形成により、労作時に虚血が起こる。
異型(冠攣縮性)狭心症
決まったきっかけにより、血管が攣縮し一過性に狭窄または閉塞する。
急性冠症候群 (ACS)
不安定狭心症
アテロームの破綻により、血栓を形成し著しく狭窄している状態。そのまま心筋梗塞に移行する可能性もある。
急性心筋梗塞
アテロームの破綻により血栓を形成し、完全閉塞した状態。