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橋本病とは?
甲状腺の慢性の炎症性疾患。 すべての患者が甲状腺機能低下を起こすわけではないが、年齢とともに機能低下を呈する。
女性に多く、女性の10人に1人が橋本病と言われている。
橋本病の原因と病態
バセドウ病と同様に免疫異常により、自分の甲状腺を異物とみなして自己抗体が産出されるのだが、バセドウ病はその自己抗体が、甲状腺を刺激してホルモンを過剰に分泌するのに対し、橋本病は自己抗体が自分の甲状腺を破壊する。
そのため、慢性的な炎症を起こし、うち40%程度の人が甲状腺機能低下をきたす。
橋本病の症状
1,甲状腺肥大
甲状腺の炎症のために硬く腫れる
2,甲状腺機能低下に伴う症状
甲状腺機能が正常に保たれていれば、自覚症状はないが、 甲状腺ホルモンは骨格筋、平滑筋、横紋筋(心筋)、神経細胞に作用しているため、甲状腺ホルモンが低下すると神経系や循環器系、代謝系に大きく影響を及ぼす。
神経系への影響
抑うつ傾向、物忘れ、倦怠感
循環器系への影響
徐脈、低血圧
代謝への影響
浮腫、体重増加、低体温、寒がり、便秘、月経不順
検査
血液検査
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH)の上昇
甲状腺ホルモンの分泌が悪いので、いっぱい刺激してホルモンの分泌を促している。 - 甲状腺ホルモン(FT3・FT4)の低下
- 抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)の陽性反応(→自己免疫異常によって、作り出された抗体。)
超音波検査
甲状腺エコーで、大きさ・炎症を確認し診断する。
治療
保存療法
甲状腺ホルモンの低下がなければ、経過観察となり、6か月または1年おきの通院で経過観察となる。
内服治療
甲状腺ホルモンの低下があれば、甲状腺ホルモン剤(チラージン)の内服治療が必要となる。 内服により、甲状腺ホルモンの値が改善すると、症状も改善される。