心エコーとは、心臓超音波検査(UltrasoundCardioGraphy:UCG)のことで、高周波の超音波を心臓に当てて、反射して返ってくる波を映像化することで、心臓の動きを調べる検査。心臓の血流をみることもできるため、弁逆流などを発見することができる。
心エコーの結果は、略語や英語で記載されているところが多いので、略語や英語の意味を理解していなければ読むことができない。
心拍出量、心収縮力、壁運動の状態、弁の状態、部位やその程度について、どのような単語や略語で表記されているか覚えておく。
1、心拍出量と収縮力をみる
EF/LVEF(イ―エフ:左室駆出率)
左室に溜まった血液のうち、何%の血液を送り出すことができたのか表す。
正常値:55%以上
50%未満→軽度の収縮不全。
30%未満→重度の収縮不全。
LVDd(左室拡張末期径)とLVDs(左室収縮末期径)
名前の通り、LVDdは左室が拡張したときの大きさ、LVDsが左室が収縮したときの大きさを表す。
LVDd正常値:40~55㎜
>55㎜→左室が容量オーバーのサイン
LVDs正常値:30~45㎜
>45㎜→収縮力が低下しているサイン
FS(エフエス:左室内径短絡率)
左室容積が拡張期から収縮期への収縮率を表す。
LVDdとLVDsから求められる。
正常値:30~50%
<30%→心臓のポンプ機能が弱っているサイン
2、心臓の壁運動をみる
心エコーレポートのコメント欄に主に記載されている所見。心臓の壁運動異常は『asynergy』(アシナジー)と呼ばれ、アシナジーがあれば、壁運動異常の状態と部位が結果に示される。
【追記】
『asynergy』という表現は、異常の程度や種類が曖昧であるため、現在では使用されることが少なくなってきている。
代わりに、『Wall Motion』や『Wall Motion Abnormality(WMA)』といった表現が用いられ、さらにギリシャ語で「動き(movement)」を意味する『kinesis』を語源とする用語(hypokinesis、akinesis、dyskinesis など)が用いられるようになっている。
normal | 壁運動異常なし。正常。 |
---|---|
hypokinesis | 低収縮 |
akinesis | 無収縮 |
dyskinesis | 奇異性収縮 |
anterior | 前壁 |
---|---|
posterior | 後壁 |
lateral | 側壁 |
apex | 心尖部 |
antero-septal(A-S) | 前壁中隔 |
diffuse | 広範性 |
3、弁の性状をみる

僧房弁(MV)、大動脈弁(AV)、三尖弁(TV)、肺動脈弁(PV)の性状が表される。
これらの弁の性状は、以下の表記が使用される。
・calcification…石灰化
・thickening…肥厚
・prolapse…逸脱
・vegetation…疣腫(ゆうしゅ:弁にできた細菌の塊)
4、弁の逆流をみる

僧房弁逆流(MR)、大動脈弁逆流(AR)、三尖弁逆流(TR)、肺動脈弁逆流(PR)の程度が次の表記であらわされる。
・trivial…ごくわずか、問題なし
・mild…少し
・moderate…やや多い
・severe…かなり多い