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橈骨遠位端骨折とは?
前腕骨である橈骨の遠位端(心臓から遠い方の端)が骨折すること。
橈骨遠位端骨折の種類
コレス骨折
骨折部より遠位が、背側に転位した骨折。
転倒して手関節を背屈してついたときに起きる。
スミス骨折
骨折部より遠位が、手掌側に転位した骨折。
手関節を掌屈(しょうくつ)してついたときに起きる。
橈骨遠位端骨折の原因
転倒時に手をついたとき、手関節へ介達外力(直接的に作用する外力ではなく、伝わってきた外力)が加わり、橈骨遠位端骨折を生じることが多い。
若年者では、交通事故やスポーツ中の事故で受傷することが多く、高齢者では転倒時に手をつき受傷することが多い。
橈骨遠位端骨折の症状
- 手関節の腫脹、変形
- 手関節の疼痛、圧痛
橈骨遠位端骨折の検査と診断
- X線撮影(基本、正面・側面・斜位の3方向)
- CT撮影(骨折線を正確に把握したいときに撮影)
橈骨遠位端骨折の治療
保存治療
麻酔や局所麻酔で痛みをとってから、X線透視下で、徒手整復(ズレた骨をある程度正しい位置に戻す)を行う。その後、肘下から手関節(MP関節)までシーネやギブスで固定する。
通常、4~5週間固定し、X線で骨融合を確認できたら、シーネやギブスを外すことになる。
手術治療
基本、保存療法を行うが、シーネやギブスでは骨折が不安定で、固定ができない場合にはプレート固定や銅線固定術のを行う。
橈骨遠位端骨折の看護
疼痛コントロールを行う
骨折部位に疼痛を生じるため、患部を出来るだけ動かさないよう固定を行い、適宜鎮痛剤を使用する。
また、患部の腫脹防止、安静のためにアイシングや三角巾にて前腕を挙上する。
ギブス・シーネによる合併症を予防する
神経障害の観察
橈骨遠位端骨折のギブス・シーネ固定により、尺骨神経麻痺・橈骨神経麻痺・正中神経麻痺を起こす危険性があるため、手指の知覚・運動状態を確認する。
循環障害の観察
患部の腫脹や固定の圧迫により、循環障害をきたす場合があるため、橈骨動脈の触知、爪甲色・手指冷感・チアノーゼ・骨折部痛を観察する。
セルフケアの援助
疼痛や患部の固定により、ADLが制限されるため、必要に応じ清潔・排泄・食事の援助を行う。