経口・経鼻エアウェイの挿入
エアウェイの目的
頭部後屈顎先挙上法や下顎挙上法など徒手的気道確保を行っても、十分な気道確保が困難な場合に、口咽頭(経口)・鼻咽頭(経鼻)エアウェイの器具を用いて空気の通り道を確保する。
口咽頭エアウェイ(Oro Pharyngeal Airway:OPA)
目的
舌根沈下や上気道の筋弛緩による気道閉塞を解除する。
適応
徒手的気道確保では十分な気道確保が困難な意識不明の患者。
エアウェイ挿入により、嘔吐や咽頭痙攣を誘発する可能性があるため、嘔吐・咳反射のある覚醒または半覚醒の患者には使用しない!
口咽頭エアウェイのサイズと正しい留置部位

エアウェイが短すぎる場合には、舌をさらに圧迫して気道閉塞を悪化させる。
逆に長すぎるとエアウェイの先端が喉頭蓋を圧迫して完全に気道閉塞を起こすため、挿入前に患者の口角(前歯)から下顎角までの長さに合うエアウェイのサイズ(主に3号~5号)を選択する!
そうすると、経口エアウエイの先端が、舌根と咽頭後壁の間の適切な位置に留置される。
挿入方法
- 適切なサイズを選択する。
- エアウェイに潤滑剤をつける。
- エアウェイの先端が頭部側になるように(逆向きで)口腔内に挿入する。
※この時、舌を押し込まないよう注意する!
- 先端が咽頭後壁に近づいたとき、口咽頭エアウェイを180度回転させ、正しい向きに変える。
- 気道が開通したか呼吸状態を確認・評価する。
下顎挙上を解除すると、気道閉塞を起こす危険性があるため、エアウェイ挿入後も下顎挙上は継続すること!
鼻咽頭エアウェイ(Nasopharyngeal Airway:NPA)
目的
舌根沈下や上気道の筋弛緩による気道閉塞を解除するために用いられ、基本的には経口エアウェイが挿入困難な場合に用いられる。
適応
徒手的気道確保では十分な気道確保が困難な、覚醒または半覚醒(咳反射・咽頭反射あり)の患者。
経鼻エアウェイの禁忌!
頭蓋骨損傷⇒頭蓋内に挿入されてしまう危険性あり!
頸部硬直・脳出血⇒挿入手技により血圧上昇を引き起こす危険性あり!
経鼻エアウェイのサイズと正しい留置部位

経鼻エアウェイは、6.0㎜、7.0㎜、8.0㎜とサイズがあり、サイズ表記は内径のサイズだが、それぞれ長さも異なるため、患者に適切なサイズを選択する必要がある。
エアウェイが長すぎた場合には、食道に留置されたり、短すぎても適切な換気が行えないため、患者の鼻から耳朶(じだ:耳たぶのとこ)までと同じ長さのエアウェイを選択する。
そうすることで、エアウェイの先端部が軟口蓋を越えて声門には達しない位置に留置される。
挿入方法
- 適切なサイズのエアウェイを選択する。
- エアウェイに潤滑剤をつける。
- エアウェイのカット面を鼻中隔側になるように、そして顔面に対して垂直になるようにエアウェイを挿入する。
鼻中隔(右鼻と左鼻の間の壁)は血管が豊富なので、エアウエイのカット面ではなく尖った方を当てると血管を傷つける恐れがある。
また、エアウェイを顔面と平行に挿入した場合には、鼻腔上壁を傷つける恐れがあり、血液の誤嚥を引き起こす危険性もあるため注意!
左右どちらの鼻腔に挿入してもよいが、手技的に自分の効き手側(右利きなら右の鼻腔)のほうが挿入しやすい!
- 鼻腔の底部に沿ってエアウェイを挿入する。
- 挿入できたら、エアウェイを鼻腔に入り込んでしまわないよう鼻腔から出ているエアウェイの先端に安全ピンをつける。
内径を太いものを選択してエアウェイが長かった場合には、安全ピンで長さ調整を行える。(本来は長さ調整の目的で安全ピンをつけるらしいが、例えエアウェイの長さが患者にジャストでも、エアウエイが入り込んで窒息した事故もあるようなので、安全ピンは必ずつける!!)
- 気道が開通したか呼吸状態を確認・評価する。
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