腹腔ドレーン(1) 目的と挿入部位
ドレナージの目的
- 治療目的
- 通常腹腔内には存在しない、膿や腹水を排出する。
- 予防目的
- 術後などに浸出液や血液が貯まることで、縫合不全や感染を引き起こすため、これを予防するために排泄する。
- 情報目的
- 異常の早期発見のために、排液量と性状を観察する。
ドレーンの挿入部位

- 右横隔膜下
- 左横隔膜下
- ウィンスロー孔
- 胃・十二指腸と肝臓の間には、小網という膜があり、胃の下部から腸前面には、大網という膜が垂れ下がっている。この間の隙間がウィンスロー孔。
孔になっているので、ドレーンがずれにくく、抜けにくい。
- モリソン窩
- 肝臓の右葉と、右腎臓の間の隙間に留置
- 肝下面
- 肝臓の下面で、中央にあるくぼみ近くに留置
- 右傍結腸溝
- 読み方:みぎぼうけっちょうこう
上行結腸下部の外側に留置
- 左傍結腸溝
- 下行結腸下部の外側に留置
- ダグラス窩
- 直腸と子宮の間のくぼみで、腹腔の最も底の部分に留置
手術部位別、ドレーン挿入部位
胃(部分切除・全摘):ウィンスロー孔、左横隔膜下
食道:ウィンスロー孔、左横隔膜下
直腸:骨盤腔(ダグラス窩)
肝切除:ウィンスロー孔、右横隔膜下
肝移植:ウィンスロー孔、左横隔膜下、ダグラス窩
胆のう摘出:モリソン窩orウィンスロー孔
膵頭十二指腸:ウィンスロー孔、膵前面
膵体尾部:ウィンスロー孔、左横隔膜下
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