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胃管について

胃管は、NGチューブ・マーゲンチューブとも呼ばれる。
太さは規格があり、通常12Fr~16Frのもの使う。
※3Frが1㎜なので、外径4㎜~5㎜のもの。 長さはTotal70~90㎝程度のものが使われ、実際に挿入される長さは45~60㎝くらい。
経鼻胃管挿入の目的
栄養管理
経口摂取ができない場合に、鼻腔から管を通して直接胃に栄養剤や薬剤を注入する。
胃内容のドレナージ
腹部手術や腸閉塞時に、上部消化管減圧目的で挿入する。減圧することで、術後の縫合不全を防止したり、貯留した空気や胃液などの嘔吐・誤嚥を防止する。
胃洗浄
急性薬物中毒などで、胃内に残留する有害物質を除去・洗浄する。
経鼻胃管の適応
- 消化管機能に問題はないが、経口摂取困難な患者
- 消化管の手術後(食道がん・胆道系・膵頭十二指腸切除・結腸切除後など)
- 腸閉塞
- 胃洗浄が適応となる急性薬物中毒患者など
胃管挿入に伴う合併症
誤挿入、鼻出血、咽頭違和感、鼻翼潰瘍
胃管挿入の長さ
患者の体格により、胃管を挿入する長さは異なる。
耳朶(ジダと読む。耳たぶのこと)から鼻孔+鼻孔から剣状突起までの長さが挿入する目安となる。

必要物品
胃管(12~16Fr)、ディスポ手袋、50㏄カテーテルチップ、潤滑剤、固定テープ、はさみ、聴診器、処置用シーツ
手技・手順
- 必要物品を準備する
- 患者さんに目的、処置の方法を説明する
「違和感があって少し気持ち悪いこと」
「のどのところまで管がきたら、ゴクンと唾を飲み込むこと」を伝える - 必要物品を患者のところへ運び、カーテンをし、患者の体位を整える。
体位は半座位が仰臥位とし、患者の安楽な体位をとってもらう。 - タオルまたは処置用シーツを枕元から首元に敷く
- 潤滑剤をガーゼにとり、胃管チューブの先端にたっぷりつける
- 胃チューブを鼻腔よりゆっくり挿入する
咽頭部まで挿入したらゴクンと飲み込んでもらう。
ムセてしまった場合は、気管挿管の可能性があるので、一旦カテーテルを引いて再度挿入する。 - 胃チューブが45㎝あたりまで挿入できたら、カテーテルチップで空気を20㏄以上注入し、聴診器で胃まで挿入したか確認する。
心窩部に聴診器を当て、「ゴボッ」「ポコッ」と気泡音が聞こえればOK - さらに患者に合った長さまで進めたら、テープで固定する
- レントゲン撮影し、胃管の位置を確認
- 医師に確認して、栄養開始
胃管挿入中の観察と看護
胃管の固定確認
胃管は、鼻腔や頬にテープ固定を行うが、皮脂や体動によりテープは剥がれることも多い。挿入時に胃管にマーキングしたり、記録に挿入の長さを残したりと継続して固定がずれないよう管理していく。
挿入部位の皮膚障害の観察
長期的に胃管が挿入されている場合、胃管による圧迫や固定テープの刺激により発赤やびらん・潰瘍など皮膚障害を生じる場合がある。
毎日固定を剥がして、皮膚障害の有無を観察するのとともに、少しずつでも固定部位やテープの貼付部位を変えたり、保護材を使用するなどして皮膚障害の予防を図る。
排液の観察
胃管からのドレナージを行っている場合、排液の量や性状の観察を行う。
<排液の性状>
排液が黄色→腸液
排液が緑色→胆汁
排液が暗赤色→古い血液
排液が鮮血色→上部消化管出血が考えられる。