ストーマサイトマーキングの基本と手順

目次

ストーマサイトマーキングとは

ストーマの造設位置を決め、体表面に印をつけること。
患者の日常生活に関する情報収集を行いながら、少しでもQOLが低下しない位置・セルフケアしやすい位置を選定する大事なケア。

そのため、医師ではなく、日常生活に寄り添う看護師がメインで実施することが多い!

マーキング位置の決め方

ストーマサイトマーキングの原則として、「クリーブランドクリニックのマーキング基準」がある。
標準体重の場合に当てはまりやすいが、肥満や痩せている患者にはすべて当てはまらない場合もあるため、優先順位を考え施行する。

この原則を考えたうえで、ストーマ造設部位(消化管であれば腸管の位置、尿路ストーマであれば回腸導管か尿管皮膚ろうか)を医師に確認し、マーキング部位の選定を行う。

クリーブランドクリニックの原則

  • 臍より低い位置…可動性が少なく平面が得られる
  • 腹部脂肪層の頂点…座位でもストーマが脂肪に隠れない
  • 腹直筋を貫く位置…ストーマ傍ヘルニアの予防
  • 皮膚のくぼみ・しわ・瘢痕・上前腸骨棘の近くを避けた位置…パウチの面板が貼付できる平面が必要なため
  • 本人が見えることができ、セフルケアしやすい位置

ストーマ造設部位と、マーキング位置

回腸ストマ(イレオストミー):右下腹部

回腸ストーマの造設位置

横行結腸ストマ:上腹部

横行結腸ストーマの造設位置

下行結腸ストマ:左下腹部

下行結腸ストーマの造設位置

S状結腸ストマ:左下腹部

S状結腸ストーマの造設位置

ウロストミー(回腸回管):右下腹部

ウロストミーとは、膀胱すべてを手術で切除した時に造設されるストーマの総称。
回腸回管は、回腸の一部を使用して右下腹部に尿の出口をつくったもの。

ウロストミー(尿管皮膚ろう):両側前腋窩線内側

尿管を直接皮膚に開口したもの。

ストーマサイトマーキングの必要物品

  • マーキングディスク
  • 水性ペン
  • 油性ペン
  • ノギスまたは定規
  • カメラ
  • 温タオル
  • 患者が普段着用しているズボンやベルトなど

ストーマサイトマーキングの手順

ストーマサイトマーキングは患者の協力が必要となるため、実施前に、医師から患者・家族へストーマ造設について説明をうけ、セルフケアの必要性を理解してもらうことが重要!

  1. まずは、仰臥位をとってもらう。
  2. 水性ペンで基線となる①正中線、②臍を通る横線、③肋骨弓、④上前腸骨棘に線を引く。
    ストーマサイトマーキングの基線の書き方

上前腸骨棘とは?
読み方:じょうぜんちょうこつきょく
腸骨の突出しているところのこと。

  1. 仰臥位のまま軽く頭を上げてもらい、腹直筋を確認し、外縁に線を引く。
    ストーマサイトマーキング腹直筋の外縁の書き方
  2. 基線に囲まれる位置にマーキングディスクを置き、マーキングディスクの中央から水性ペンでマーキングする。
    ※『ストーマ造設部位と、マーキング位置』参照。
    マーキングディスクを使用して仮の印をつける
  3. 患者に座位・前屈位をとってもらい、患者から見づらくないか、しわに埋もれないかを確認しながら、マーキング位置を調整する。
    ※『クリーブランドクリニックの原則』参照
  4. 立位をとってもらい、マーキング部位を指さしてもらい見える部位にあるか、ベルトラインに当たっていないかなど、実際に普段着用しているズボンやベルトを使用して確認し、最終決定する。
  5. 最終決定した部位は、油性ペンでマーキングする。
  6. 仰臥位をとり、マーキング位置(臍からの左右の距離、臍からを上下の距離、臍からの直線距離)を計測する。
  7. 写真で記録する。
  8. 不要なラインを温タオルでふき取る。
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