HBOとは?
大気圧より高い気圧下に患者をおき、高濃度の酸素を吸入させることによって、疾患・症状の改善を図るための治療。
HBOの目的と効果
- 高気圧(大気圧1気圧のところ、装置内は2気圧かそれ以上)
- 高濃度酸素(空気中酸素は20%、装置内は100%)
HBOの装置内は、この2つの環境があることによって、生理的効果、物理的効果、化学的効果の3つの効果がえられるため、外傷から脳疾患まで幅広い治療に使用される。
1、生理的効果
空気呼吸時PaO2 100mmHgのところ、高気圧で100%酸素を吸入することで、PaO2 1433mmHgまで上昇させることができることができる。
血中には、ヘモグロビンとともに存在する『結合酸素』と、血しょう中に存在する『溶解酸素』が存在しているのだが、この溶解酸素はほんのわずかで、普段の酸素供給は結合酸素が使われている。しかし、この14倍の酸素分圧により、血しょう中にも酸素が溶け込み、溶解酸素が増加し、結合酸素(血球)が届かない障害部位にも溶解酸素(血しょう)で酸素供給できるようになる。
適応疾患:脳梗塞、心筋梗塞、熱傷、凍傷など
酸素分圧の話
高い山に登って低酸素血症になるのは、『酸素濃度』の薄くなるのではなく、『酸素分圧』が低くなるから。
HBOはこの逆の原理で、酸素分圧が高くなるため、それだけ酸素を血液中に取り込みやすくなる。
2、物理的効果
圧力による効果。 浮腫などの圧迫物で縮小させ、循環障害を改善。血行が改善することにより、浮腫を改善する。
適応疾患:麻痺性・癒着性イレウス、脳浮腫、減圧症など
3、化学的効果
高い酸素分圧で発生する活性酸素の細胞障害作用による殺菌効果。
適応疾患:重症感染症など
副作用
耳鳴り、頭痛、めまい、吐気、息苦しさ、呼吸困難
治療前後の看護
検査前に必ずチェックすること
カプセル内は、100%酸素下なので、火気があれば大爆発してしまう。 検査前には次のことを細かくチェックし、更衣やルート類の処置をしてから入室する。
- 身につける下着・寝衣は綿100%のみ。(もちろんおむつもNG!)
- シップや義歯など外せるものは全て外す。
- 点滴をしていればロックする。
- カテーテル類もクランプする。
患者への説明
患者の不安軽減のためにも、検査時間や副作用について説明し、何か異変があれば検査技師に申し出るよう伝えておく。
症状の観察
治療は数回続くため、治療前の症状と比較しながら治療効果の観察を行う他、副作用の出現も多いため、注意して観察する。