尿検査│検査結果の見方

尿検査│検査結果の見方
目次

尿検査の目的

尿は、血液をろ過して作られる老廃物であり、成分や量は、あらゆる病態で変化する。

そのため、腎・尿路系疾患に限らず、心臓・肝臓・内分泌の機能や病態、治療効果の指標として検査を行う。

各尿検査値の正常・異常

尿pH

尿がアルカリ性か酸性かを調べる検査。
体の酸塩基平衡を調整するのは、肺と腎臓なので、アシドーシスやアルカローシスの原因検索として、尿pHで酸(H⁺)の排泄能を評価することは重要となる。
※ただし、尿に細菌がいる場合には、アルカリ性に傾くことがある。
『酸塩基平衡の基本』を見る

基準値:pH6.0(弱酸性)

食事の内容や運動で、pH4.5~7.5までは変動がある。


(アルカリ尿)
尿路感染症、呼吸性アルカローシス(過呼吸など)、代謝性アルカローシス(嘔吐など)

(酸性尿)
代謝性・呼吸性アシドーシス(脱水・飢餓など)、痛風、糖尿病、腎炎など
尿pHの異常

尿比重

尿中の『水』と『老廃物』の割合を示した値。
腎は身体の中の水分量を調整するために、尿を希釈(水の割合を増やす)したり、濃縮(老廃物の割合を増やす)するため、尿比重は腎機能を示すひとつの指標となる。

基準値:1.015~1.025


(濃縮尿)
ネフローゼ症候群、糖尿病、心不全、脱水症

(希釈尿)
腎不全、尿崩症、利尿剤投与時
尿比重の異常

尿たんぱく

分子が大きいタンパクは、糸球体でろ過されず、糸球体を通り抜けたとしても尿細管で再吸収される。
しかし、腎疾患や尿管に何らかの異常がある場合には、大量にろ過されたり、再吸収されずに、尿にタンパクが混じる。

腎・尿管に異常がなくても、長時間の立ち続けたり(起立性たんぱく尿)、運動した後、月経前などは一過性にタンパク尿がでることがある。

基準値:陰性(-)
定量:150㎎/日未満

尿蛋白が陽性を示す原因は、尿が生成される過程により、腎前性(腎臓より上の臓器に異常があり、尿たんぱくの再吸収が追いつかない)・腎性(腎臓に異常があり、ろ過や再吸収に障害がでる)・腎後性(腎臓より下にある膀胱や前立腺の炎症により、タンパクが混入する)の3つに分類される。

腎前性感染症、溶結性貧血、悪性腫瘍など
腎性糸球体腎炎、ネフローゼ高校軍、腎不全、糖尿病性腎症、尿細管壊死など
腎後性尿路感染症、尿管結石、尿路腫瘍、前立腺疾患など
尿蛋白の異常<陽性>

尿糖

尿の生成時、ブドウ糖は、糸球体でろ過された後、100%近位尿細管で再吸収されるため、尿中にはごくごく微量の糖しか含まれない。

基準値:陰性(-)
定量100㎎/日以下

陽性
(+)
糖尿病、甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、腎機能障害、ステロイド投与時、妊娠、薬物中毒など
尿糖の異常

尿潜血

尿中の血液の有無を調べる検査。
肉眼では血尿とわからない場合も、尿潜血が陽性となることもある(顕微鏡的血尿)。

基準値:陰性(-)

陽性
(+)
内腎炎、膀胱炎、尿管結石、腎腫瘍、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、前立腺がん
不適合性貧血、溶血性貧血など
尿潜血の異常

ケトン体

ケトン体は、脂肪がエネルギー源して消費されたときに作り出される副産物。
通常、糖分がエネルギー源となるため、脂肪が消費されることはないが、糖の摂取量が少なかったり、糖尿病などで糖をエネルギーとして活用できなくなると、ケトン体が産出され、尿中に排泄される。

基準値:陰性(-)

陽性
(+)
糖尿病(糖尿病ケトアシドーシス)、飢餓、脱水症、下痢・嘔吐、激しい運動後など
ケトン体の異常

ビリルビン

ビリルビンは、赤血球が寿命で破壊されてできる代謝産物で、胆汁の主成分となっている。

通常、(直接)ビリルビンは胆汁として十二指腸に入り、便の色素となって体外に排泄されが、胆汁のうっ滞を起こすと、ビリルビンが多量に血中に漏れだす。
血中に入ったビリルビンが、腎臓を通過して、尿から排泄されたときに、尿ビリルビンは検出される。

基準値:陰性(-)

陽性急性肝炎、肝硬変、閉塞性黄疸(胆石など)
ビリルビンの異常

ウロビリノーゲン

ウロビリノーゲンは、ビリルビンが腸を通過するときに、腸内細菌によって還元されてできた物質。
ウロビリノーゲンは便とともにほとんど排泄されるが、一部は腸から吸収されて肝臓へと戻り再びビリルビンになるか、腎臓を経由して尿として排泄される。

そのため、通常でもウロビリノーゲンは検出される。

ウロビリノーゲンが増加を示すのは、赤血球の大量破壊により腸に入るビリルビン量が急激に増える溶血性黄疸の時や、腸から肝臓に戻ったウロビリノーゲンが、肝障害でビリルビンに変換されずに、尿中に排泄されてしまう場合である。

ちなみに、胆道閉塞でビリルビン(胆汁)が腸に流れない場合など、ウロビリノーゲンが生成されない場合には、陰性を示す。

基準値:±~1+(弱陽性)

陰性閉塞性黄疸、重度の肝障害など
肝炎、肝硬変、肝障害、溶血性黄疸
ウロビリノーゲンの異常

尿沈渣

顕微鏡で、以下の固形成分の有無や量を観察するもので、診断や治療の判断材料として有効な検査。

赤血球

尿潜血が認められた場合は、赤血球以外に、ヘモグロビンやミオグロビンが混入している場合がある。そのため、赤血球の有無や量、形を観察することで、血尿の原因検索を行うことができる。
基準値:1視野に5個以内

腎炎、腎結石、腎腫瘍、尿管結石、尿路系の炎症、尿路腫瘍など
赤血球の異常

白血球

白血球の有無や種類(好中球、好酸球など)をみることで、尿路の感染や炎症や薬剤性腎障害を示唆できる。
基準値:1視野に5個以内

尿路系の炎症、腎盂腎炎、薬剤性腎障害、アレルギー性膀胱炎など
白血球の異常

上皮細胞

尿路の粘膜をつくる細胞で、炎症などがあると剥がれ落ちて尿中に排泄される。
上皮細胞の種類を観察することで、剥がれ落ちた部位や疾患をある程度推測できる。
基準値:1視野に少量

尿道炎、膀胱炎、膀胱がん、尿道がん、尿管結石など
上皮細胞の異常

円柱(細胞)

尿細管内で尿中のタンパク質成分が円柱状に固まったもの。
アルブミン濃度の上昇や、尿の濃縮、pHの低下により円柱が形成されるため、正常でも検出されることはあるが、円柱の性質によっては腎実質の障害を示唆する。
基準値:1視野に0個

急性・慢性腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群など
円柱細胞の異常

結晶成分

尿酸やシュウ酸カルシウムなどの成分が多いと、固まって結晶としてみられる。
それぞれ、結晶の形に特徴があるため、観察することで疾患を予測することができる。
基準値:1視野に少量

腎結石、痛風、肝障害、ネフローゼ症候群など
結晶の異常

(細菌)

正常でも常在菌などが混入することはあるが、尿沈渣で白血球も検出された場合には、尿路系の感染症が疑われる。
基準値:-~±

陽性
(+)
膀胱炎、腎盂腎炎、カンジタ症、クラミジアなど
細菌の異常

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