虫垂炎(appe)

目次

虫垂炎とは?

虫垂に炎症が起きている状態。

虫垂炎の病態と原因

虫垂炎の病態イメージ図

はっきりとした原因はわかっていないが、感染や便が石灰化した糞石による虫垂内腔の閉塞を起こすためだと言われている。
閉塞した虫垂は循環障害を来たし、粘膜組織からの出血も起こし、血流が十分に虫垂組織へいきわたらないために細菌増殖を来たすのだと考えられている。

虫閉塞重症化すると、穿孔し、腹膜炎や腹腔内膿瘍を合併するに至る。

好発

好発年齢は10代~20代で男女差はない。

症状

自覚症状

  • 移動する腹痛:心窩部痛から臍周囲に移動し、4~6時間程度で右下腹部に限局した痛みとなる。
虫垂炎の疼痛部位
  • 虫垂内圧上昇による嘔気・食欲低下
  • 炎症が進行すると下痢や頻尿、排尿障害をきたすことも

身体所見

右下腹部の圧痛

<圧痛点>
マックバーニー点(臍と右上前腸骨棘を結ぶ外側1/3の点)
ランツ点(左右の右上前腸骨棘を結ぶ右側1/3の点)
※虫垂は盲腸にぶらさがるように位置しているため、一定の位置にあるとは限らない。 2つの点に圧痛がなくても、虫垂の自由度を考え、Rapp(ラップ)の四角形内での圧痛を確認する。

ラップ三角形の圧痛

筋性防御

腹部を押したときに腹筋が反射的に緊張。腹壁が堅く触れる

ブルンベルグ徴候(反跳痛)

腹部を押したときより離したときに痛みが強くなる

筋硬直

炎症が進行すると、腹筋が緊張し続け、腹筋が板状に触れる

ローゼンシュタイン徴候

圧痛が仰臥位より左側臥位で強くなる現象。虫垂が伸展されるため

腸腰筋徴候

重陽筋を伸ばす右股関節の伸展により疼痛が増強。

閉鎖筋徴候

屈曲した大腿部の内旋による疼痛増強。

検査

腹部エコー

右下腹部に肥大した虫垂がみえる

腹部CT

診断に必ずしも必要はないが、他疾患との鑑別に有効。
※手術をするときには必須。造影の必要はない。

採血検査

炎症データの上昇をみとめるだけだが、他疾患との鑑別には有効。
手術をするときには必須となる。

治療

保存治療

絶食して抗生剤を投与する。炎症が軽度の場合は適応となるが、再発防止のためにも患者が拒否しない限り、手術することが多い。

虫垂切除術

1、腹腔鏡下虫垂切除術

炎症や癒着が強い場合以外は、腹腔鏡にて行うのが主流。3箇所1~2cmの傷で済むので、術後浸襲が少ない。

2、交差切開

右下腹部に5cmほど斜めに切開。ひと昔前までこれが主流。

3、下腹部正中切開

炎症・癒着が強い場合に用いられる。正中に10cm程度の傷ができるので、術後侵襲が大きい。

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