縫合不全とは、縫ってくっつけた傷が、癒合せず開いてしまうこと。皮膚の縫合不全で感染を起こすこともあれば、消化管の縫合不全で、内容物が腹腔内に漏れ、腹膜炎を合併することもある。
縫合糸による接着の限界は手術後7~14日であり、その間に創がくっついてくれないと縫合不全を起こすため、1週間前後にみられることが多い。 手術後3日以内に生じた縫合不全は、最初から縫合していない部分に生じたものである。
近年、器械吻合をするようになってから、縫合不全は少なくなっている。
目次
観察
- 創状態…感染徴候(発赤・熱感・腫脹)、離開の有無をみる。
- 栄養状態(TP・Albなど)…栄養状態が悪いと創部治癒を妨げる
- 血糖値…血糖値が高いと創部治癒を妨げ、感染の原因にもなる
- ドレーンチューブ…屈曲や閉塞によるドレナージ不良は、縫合部に圧力をかけるため縫合不全の原因となる
- ドレーン排液…内臓の縫合不全があれば、排液が汚染する
- 創痛の再燃…一度軽減していた創痛が増強してくる
- 内服情報…ステロイドの長期内服や抗がん剤は縫合不全の原因のひとつ。
縫合不全の予防と、縫合不全発見時の対応
- 効果的ドレナージ…うまくドレナージされないと、縫合部に圧がかかり癒合を妨げる
- 血糖コントロール…術後は血糖チェックとインシュリンで血糖コントロールを行う
- 縫合不全を疑う所見があるときには、すぐに医師へ報告する
- 縫合不全を起こしたら、再縫合や抗生剤投与を行う
- 内臓の縫合不全の場合は、腹膜炎や腹腔内出血を起こすため再手術となる