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無気肺

無気肺とは?

なんらかの原因により、肺胞に空気が入っていない状態。
空気が入らない肺胞は、虚脱(つぶれた状態)し、換気量が低下することで呼吸障害を招く。

原因と病態生理

無気肺は、気道が閉塞したり、肺が圧迫されて空気が入らなくなることで起こる。
詳しく見てみると、無気肺の原因は次の4つに分類される。

1、閉塞性無気肺

閉塞性無気肺

気道が閉塞し、その末梢にある肺に空気が入らなくなる状態。
術後や長期臥床の患者は、呼吸運動や咳嗽反射の抑制、気道内分泌物の増加のために閉塞性無気肺を起こしやすい。

2、圧迫性無気肺

圧迫性無気肺

気胸や胸水の貯留により胸腔内圧が上昇し、肺が圧迫されて空気が入らなくなった状態。
気胸や胸水のほか、肺癌や縦隔腫脹などが原因となりうる。

3、粘着性無気肺

粘着性無気肺

肺サーファクタントの減少により、肺胞がしぼんで無気肺を起こす。
主な原因としては、肺の未成熟で先天的にサーファクタントが欠乏する新生児呼吸窮迫症候群(RDS)や、敗血症などの原因疾患により、サーファクタントの働きが悪くなり起こる急性呼吸促拍症候群(ARDS)がある。

肺胞の表面張力とサーファクタントの働き

肺胞の内側には、間質液という液体がある。液体はできるだけ小さくまとまって表面積を小さくしようとする『表面張力』があるため、肺胞は間質液により常にしぼむ方向へ力が働いている。
肺胞の表面張力

そんな中、サーファクタントは、石鹸や洗剤のように表面張力を弱くする物質なので、肺胞を広げやすくしながら虚脱を防いでいる。

4、瘢痕性無気肺

瘢痕性無気肺

肺間質の線維化により、肺胞周囲が厚く、硬くなり、肺胞が膨らめずに虚脱した状態。
肺線維症や気管拡張症でみられる。

症状

自覚症状

※気管支閉塞がゆっくりと進んだ場合には、自覚症状が現れない場合もある。

臨床所見

閉塞性無気肺では、気管(縦隔)は患側に引っ張られるため、患側に偏移し、胸水や気胸では、患側からの圧迫により健側に偏移する。
(病変が大きいほどわかりやすい)

治療

原因疾患がある場合はその治療を優先する。
気管支を塞ぐ異物や痰があれば取り除き、無気肺が慢性化している場合には、肺炎予防のため抗生剤を投与する。

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