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尿失禁とは?
自分の意思とは無関係に尿が漏れてしまい、社会生活や衛生面に支障が生じるもの。
尿失禁の原因と治療
尿失禁の病態と原因別に、腹圧性尿失禁 ・切迫性尿失禁 ・溢流性尿失禁 ・反射性尿失禁・機能性尿失禁の5つに大きく分けられる。
腹圧性尿失禁
尿道括約筋の軽度不全のため、腹圧上昇時(咳・くしゃみ)で尿が漏れる。
老化や妊娠、分娩が原因となるり、骨盤底筋群を強化する筋力トレーニングを行う。軽い尿失禁であればこれで改善され、薬物療法も行われる。
切迫性尿失禁
膀胱が過敏状態で、トイレに行く前に漏れてしまう。
膀胱炎・過動性膀胱、虫垂神経疾患が原因となる。薬物療法が適応。
溢流性尿失禁
慢性的な尿閉で、残尿量が大量になると膀胱内圧が上昇して漏れ出す。
前立腺肥大・神経因性膀胱など尿が出にくくなる原因疾患が必ずあるため、この原因疾患の治療を行う。また、一時的な処置として導尿を行う。
反射性尿失禁
膀胱に尿が溜まると、尿意がないのに排尿が起こる。
中枢神経疾患・脊髄損傷が原因となるため、原因疾患の治療を行う。
機能性尿失禁
膀胱機能は正常だが、認知症や高齢によるADLの低下により、トイレに間に合わずに尿が漏れてしまう。
この場合は、介護や生活環境の見直しを行い、周りの介護者とともに取り組んでいく必要がある。
検査
チェーン膀胱造影検査
造影剤と同時に尿道からチェーンを挿入し、膀胱と尿道の形態を評価する検査。
腹圧性尿失禁の診断に行われる。
パッドテスト
500mlの水を飲んだ後に、尿パットを装着した状態で腹圧のかかる動作を一時間行い、前後のパッドの重さで失禁量を図るテスト。
尿失禁の重症度を判定できる。
尿流動態検査
膀胱にカテーテルを挿入し、生理食塩水を膀胱に注入し、排膀胱に尿が溜まった状態や、排尿時の状態や膀胱機能を観察し、排尿障害の診断を行う。