褥瘡の評価ツールとして、総合的に評価する『DESIGNーR』や、深さで評価する『深達度分類』があるが、その他に、褥瘡の色で治癒経過を評価する『色調による分類』がある。
褥瘡の色を理解することは、適切な治療や除圧が行えているか?私たちが日々のアセスメントをする上でとても重要になるので、詳しく見ていく。
褥瘡の治癒過程
浅い急性期の褥瘡は、発赤や水泡・びらんを呈し、発生原因(圧迫)などを除去することで、比較的早期に上皮化が望める。
ただし、壊死が、脂肪組織に及ぶ深い褥瘡は、黒色→黄色→赤色→白色と、色の変化を示しながら治癒へ向かうことから、黒色期・黄色期・赤色期・白色期の4つの病期に分類して考えられる。

黒色期
硬く黒い壊死組織に覆われている状態。この壊死組織は肉芽形成を妨げる他、細菌感染の原因となるため、できるかぎり壊死組織を取り除く。
適切な治療
壊死組織の除去(デブリードマン)、いわゆるデブリを行う。
通常は、医師がメスなどを使い外科的に除去するが、壊死組織が健常組織と固着してデブリがしにくい場合には、抗菌作用と補水作用のある軟膏(ゲーベンなど)を使用し、壊死組織が浮いて境いがわかりやすくなった時点で、デブリを行う場合もある。
黄色期
黒色壊死組織が除去されたのち、主に脂肪組織の柔らかい壊死組織が見える状態。
この時期も壊死組織の除去と感染予防が必要となる。
適切な治療
外科的または化学的(薬剤)にデブリを行う。また、黒色壊死組織同様、黄色壊死組織も感染源となるため抗菌作用をもつ薬剤を使用する。
また、浸出液が増える時期のため、吸水性の高い薬剤を使用し、創部の過湿潤を防ぐ。
赤色期
肉芽組織により創面が赤くみえる時期。血流が豊富で健康的な赤色を呈する。
良性肉芽の増殖を促していく時期。
適切な治療
湿潤環境が良性肉芽の増殖を促すが、過度な湿潤は肉芽組織の増殖を抑制する他、感染リスクも高めるため、適度な浸出液のコントロールが必要となる。
通常、赤色の健康な肉芽が盛り上がってくると治癒へ向かうのだが、白くボコボコとした不良肉芽が形成されることがある。これはそう創治癒へつながらないため、これまた外科的にデブリする必要が出てくる。

また、適切な除圧やケアが行われなかった場合に、褥瘡内に褥瘡を生じることがあるため、適切な除圧対策と褥瘡の観察を怠らないようにすることが大切。
白色期
肉芽組織が成熟し、周辺組織の収縮が起こると同時に、周囲からの上皮化によって閉創へ向かう時期。
適切な治療
上皮化を促す外用薬や被覆材を使用する。
また、白色化(上皮化)しても、毛穴や感染がなく脆弱な状態のため、湿潤環境の維持と圧迫・摩擦からの保護を行う。
答え合わせ
Q1…①ブロメライン
パイナップルから作られた蛋白質分解酵素が入っていて、壊死組織を融解する!
Q2…②ユーパスタ
イソジンシュガーとも呼ばれる薬で、ポピドンヨード配合で抗菌効果あり、MRSAや緑膿菌を含む細菌感染に対しても有効性が確認されている!
また含まれるマクロゴール、白糖が浸出液をよく吸収する!