目次
胸腔ドレーンの合併症
- 肺損傷・気胸
- 肋間神経痛
- 再膨張性肺気腫(※1)
- 皮下気腫(※2)
- ドレーンの閉塞
- 逆行性感染
- 誤挿入(横隔膜穿刺、臓器損傷、穿孔)
※1再膨張性肺気腫とは
虚脱していた肺がドレナージにより一気に再膨張すると、肺血流が著しく増加して、血管壁が引き伸ばされることで血管透過性亢進し、肺胞へ血管成分の漏出が起きると考えられている。
その結果、肺水腫となり、泡沫状血清痰や喘鳴、呼吸困難を認める。
※2皮下気腫とは
肋骨骨折などの胸部外傷や、肺損傷(気胸)により、皮下に空気が侵入し生じる。この皮下気腫が起きた部位を触ると、握雪感(あくせつかん)と呼ばれる雪を踏みしめたときに鳴るぎゅうぎゅうという音やプチプチする感触がある。
このように気胸などで、胸腔ドレーン挿入前から皮下気腫を生じる場合もあるが、ドレーン挿入に伴い皮下気腫を生じる場合がある。
原因として、ドレーンの閉塞や気漏量の増加が考えられるため、皮下気腫の有無や広がりには十分に注意が必要。
マジックで皮下気腫の範囲をマーキングし、適宜、観察が必要となる。
胸腔ドレナージ中のトラブルと対処方法
ドレーンが完全抜去した場合
ドレーンを挿入していた穴から、空気が侵入し肺が虚脱する!
緊張性気胸の状態となり、ショックとなることも考えられるので、患者さんの状態観察とともに、早急な対応が必要。
- 穴を手で押さえる。
- 応援を呼んで、3辺テーピングを行う
- 医師へ報告
- 再挿入の準備
3辺テーピングの仕方
3辺テーピングは、粘着性のないフィルム材とその周り1辺を残して3辺をテープで固定する。
1辺は脱気を行う場所で、一番下になる辺を開けておく。
これで、『呼気は出るけど、外気は入らない』弁の役割を果たす。
ドレーン接続部が外れた場合
この場合も空気が胸腔に侵入し、肺が虚脱する!
また接続部から細菌感染し、胸膜炎や膿胸を合併する可能性もあるため、早急な対応が必要。
- 患者側のドレーンをクランプ!
※ペアンやコッヘルを持ち合わせていない場合には、手でクランプし応援を呼ぶ。このとき管内の排液が逆流すると感染の危険が高まるので、必ず挿入部より下で操作する! - 患者側ドレーン、排液ボトル側のドレーンを滅菌ガーゼで覆う。
- 医師へ報告。