採血スピッツの違い①必要な検体
まず、血液検査時に必要な検体が違う。
- 全血(取ったそのままの血)
- 血漿(血球以外の血)
- 血清(血球・凝固因子以外の血)
この3つ、どれを調べるかによってもスピッツは違う。
採血スピッツの違い②検体を取り出すための薬剤
全血・血漿・血清の検体をより早く、そして確実に取り出すために、スピッツの中には薬剤が入っていたり、逆に何もはいっていない採血管(プレーン管)がある。
スピッツに入っているおもな薬剤は次の4つ。
血清分離剤
血液は放っておけば、30分程度で自然と凝固して、血餅と血清に分離するのだが、より速く分離するための薬剤。
検体として血清が必要なスピッツに入っている。
凝固促進剤が一緒に入っているものを使うことが多い。
血漿分離剤
血漿と血球に分離する薬剤で、抗凝固剤と一緒に用いられる。
抗凝固剤
血漿や全血が必要な場合には、自然に凝固して、血清と血餅に分かれてしまわないように抗凝固剤を使い、血液の凝固を予防しなければいけない。
抗凝固剤入りのスピッツに採血された血液は、遠心分離により血漿と血球に分離することができる。
凝固促進剤
血清を分離したいときに速く凝固させて分離する。
血清をより早く採取するために使われ、血清分離剤とともに使用されることが多い。
採血スピッツの種類
生化学
栄養状態、肝機能、腎機能、電解質などをみることができる。診断基準となったり、入院時のルーチンとして必須の検査であるため、採血頻度は最も高い。
必要検体:血清
※血清分離剤・凝固促進剤(凝固促進フィルム)入り
抗凝固剤:なし
血算/CBC
主に赤血球や白血球などの血球数をみる 。
必要検体:全血
抗凝固剤:EDTA-2K(粉状)
血糖・HbA1C
血糖とHbA1Cを測定。
必要検体:全血
抗凝固剤:フッ化ナトリウム(解糖防止作用もあり)
血液型
血液型を調べることができる。
必要検体:血清・血球
抗凝固剤:EDTA-2K(粉状)、プレーン管を使用することもある。
血液型検査では、血清だけではなく血球も使用するため、血清分離剤や凝固促進剤は使わずに、抗凝固剤を使う。
凝固
プロトロンビンやトロンビンなどの凝固の働きをみる。
必要検体:血漿
抗凝固剤:クエン酸ナトイウム(液状)
赤沈
赤血球が沈む速さを測定することで、感染性疾患や膠原病などを鑑別できる。
必要検体:全血
抗凝固剤:クエン酸ナトリウム(液状)
感染症・腫瘍マーカー
HBV・HBCなどの感染症、腫瘍マーカー、甲状腺機能などを調べることができる。
必要検体:血清
※血清分離剤・凝固促進剤(凝固促進フィルム)入り採血管orプレーン管
抗凝固剤:なし
BNP
心臓から分泌される酵素で、心機能を評価することができる。
必要検体:血漿
抗凝固剤:EDTA-2K(粉状)
へパリンNa入り
電解質、染色体分析に適している。
また、心筋梗塞の鑑別につ使われる心筋酵素H-FABPの測定などに主に用いられる。アンモニアも測定できるが、EDTA-2K入りでも測定可能。
必要検体:血漿
抗凝固剤:へパリンNa