採血スピッツって、何が違うの?
1,必要な検体が違う!
同じスピッツですべての項目の検査ができないのは、検査項目ごとに必要な検体が違うため。
検体は主に次の3つがある。
全血
採血した血液を、遠心分離せずそのまま使うもの。
血球成分を含んでいる。
⇒血算、血液型検査などで使う。
血漿
血球を除いた成分。凝固因子は含む。
遠心分離して得られる液体成分。
⇒凝固検査や一部の生化学検査で使う。
血清
血球と凝固因子の多くを除いた成分。
血液が凝固した後、遠心分離して得られる液体成分。
⇒生化学、免疫、感染症、腫瘍マーカーなどで使う。
2,スピッツ内の添加剤が違う!
全血・血漿・血清の検体をより早く、そして確実に取り出すために、スピッツの中には以下のような添加剤が入っているものがある。
- 💊血清分離剤
-
遠心分離したときに、血清と血球成分を分けやすくするための添加剤。
凝固促進剤と一緒に使われることが多い。 - 💊凝固促進剤
-
血液の凝固を速め、血清をより早く採取する。血清分離剤とともに使用されることが多い。
- 💊血漿分離剤
-
遠心分離したときに、血漿と血球成分を分けやすくするための添加剤。
抗凝固剤と一緒に用いられることが多い。 - 💊抗凝固剤(EDTA/クエン酸ナトリウム/ヘパリンなど)
-
血液が固まるのを防ぐための添加剤。
全血や血漿が必要な検査では、血液が自然に凝固して血清と血餅に分かれないように使う。
採血スピッツの種類
生化学
肝機能、腎機能、電解質、栄養状態、脂質、CRP などをみる検査。
診断基準となったり、入院時のルーチンとして必須の検査であるため、採血頻度は最も高い。

必要検体
血清
使うスピッツ
- プレーン管
- 凝固促進剤入り
- 血清分離剤入り
- 凝固促進剤+血清分離剤入り
主な検査項目
- AST、ALT、LD
- BUN、Cr
- Na、K、Cl
- TP、Alb
- CRP
- T-Bil
- LDL-C、HDL-C、TG など
血算/CBC
主に赤血球や白血球などの血球数をみる 。

必要検体
全血
使うスピッツ
- EDTA(抗凝固剤)入り
主な検査項目
- WBC
- RBC
- Hb
- Ht
- Plt
- MCV
- MCH
- MCHC など
血糖
血糖とHbA1c(ヘモグロビンA1c)をみる。

必要な検体
全血・血漿
使うスピッツ
・フッ化ナトリウム+抗凝固剤入り
主な検査項目
- 血糖(BS)
- HbA1c
凝固
血液の固まりやすさをみる検査。
術前、出血傾向、抗凝固薬使用時などでよく出る。

必要な検体
血漿
使うスピッツ
クエン酸ナトリウム管入り
主な検査項目
- PT(プロトロンビン時間)
- PT-INR(プロトロンビン時間 国際標準比)
- APTT
- フィブリノゲン
- Dダイマー など
赤沈
赤血球が沈む速さを測定する検査。炎症性疾患や膠原病の評価に用いられる。

必要検体
全血
使うスピッツ
クエン酸ナトリウム管入り
※凝固のスピッツとは入っている量が違うので注意!
主な検査項目
- 赤沈(赤血球沈降速度:ESR)

血液型
ABO血液型、RhD血液型を確認する検査。入院時や輸血の前に行う。

必要検体
全血
使うスピッツ
- EDTA(抗凝固剤)入り
- 『血液型』と書かれている専用の管
血液型用のスピッツは、取り違え防止のため専用ラベル・専用運用となっていることが多い。
主な検査項目
- ABO血液型
- RhD血液型
へパリンNa入り
主に血漿を用いる一部の生化学検査や特殊検査で使う。
また、染色体分析やリンパ球培養にも用いられる。

必要検体
血漿
抗凝固剤
へパリンNa入り
主な検査項目
- アンモニア
- 乳酸
- ピルビン酸
アンモニアは偽高値になりやすいため、採血後は直ちに冷却し、速やかに提出する。
参考文献
- 日本臨床検査医学会.臨床検査のガイドライン JSLM2024:検体検査のサンプリング.2024.
- 日本臨床検査医学会.臨床検査のガイドライン JSLM2024:標準採血法ガイドラインに基づく正しい採血法.2024.
- 日本臨床検査標準協議会(JCCLS).標準採血法ガイドライン 改訂版(GP4-A3).2019.
- 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024 第1章 糖尿病診断の指針.2024.
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA).BMテスト™ HbA1C 電子添文.2024.
- 医薬品医療機器総合機構(PMDA).ケミルミ BNP 電子添文.2024.
- 日本輸血・細胞治療学会.輸血療法実践ガイド(令和8年2月).2026.
- 池本純子,奥田誠,石丸健,他.赤血球型検査(赤血球系検査)ガイドライン(改訂5版).日本輸血細胞治療学会誌.2025.

