バセドウ病(甲状腺機能亢進症)

目次

バセドウ病とは?

甲状腺ホルモンの過剰生産・分泌をきたした自己免疫疾患。

原因と病態

免疫異常により、自分の甲状腺を異物とみなして自己抗体が産出。通常は甲状腺刺激ホルモンTSHが甲状腺を刺激し、ホルモンを出すのだが、この自己抗体が絶え間なく甲状腺を刺激し続けるため、ホルモンが過剰に分泌される。

症状

メンゼブルクの3徴~バセドウ病の代表的な3症状

・眼球突出
・頻脈
・甲状腺肥大

そのほか、甲状腺の過剰分泌により、動悸、発汗多過、体重減少、手指振戦、微熱、血圧上昇などがみられる。

合併症

甲状腺ミオパチー

骨格筋の著しい萎縮を生じ、筋力が低下、脱力、疲労感の症状がある。 単独発症はなく、重症筋無力症や筋ジストロフィー、周期性四肢麻痺などを伴い発症するとされている。

甲状腺クリーゼ

バセドウ病の悪化により、甲状腺が極端な機能亢進を起こした結果、頻脈・高熱・意識障害を来たし、致死的な状態となりうる。

周期性四肢麻痺

甲状腺ホルモンの過剰分泌により、低カリウム血症となり、その結果四肢麻痺を生じる。 起床時や運動後、過食後に一過性に力が入らなくなるという症状を繰り返す。

検査

血液検査

  • 甲状腺ホルモンT3、T4が高値…T3、T4の標的細胞は心筋、骨格筋、平滑筋、神経細胞、皮膚に存在しているため、それぞれの機能が亢進された結果、頻脈、手指振戦、腸管機能亢進、精神過敏、皮膚湿潤の症状をきたす。
  • 抗TSH受容体抗体(TRAb)陽性(95~98%)
  • 甲状腺刺激ホルモンTSH低値
  • 血清コレステロール値 低値

超音波検査

甲状腺の肥大、腫血流をみる。

治療

手術

甲状腺の一部を切除することで、甲状腺ホルモンの量を調整。 再発の危険性は低いが、嗄声や、甲状腺機能低下症を発症する危険性がある。

アイソトープ治療

放射性ヨード薬を内服し、放射線で甲状腺の細胞数を減らす治療法。 内服で治療でき、再発の危険性は低いが、これも甲状腺機能低下症を発症することがある。 また、放射性薬剤を内服するため、治療中、治療後も1年ほど妊娠は控える必要がある。

手術

抗甲状腺薬により、甲状腺ホルモンの分泌を抑制。 薬剤の調整により、ホルモン量が正常となれば、症状が改善するが、完治は難しく再発もしやすい。

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