大脳皮質や視床・視床下部・中脳・橋・延髄などの脳幹の障害によって、意識清明ではなくなった状態。
Ⅰ-1 | 見当識はあるが意識清明ではない |
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Ⅰ-2 | 見当識障害あり |
Ⅰ-3 | 自分の名前・生年月日が言えない |
Ⅱ-10 | ふつうの呼びかけで開眼 |
Ⅱ-20 | 大声や体を強く揺らすと開眼する |
Ⅱ-30 | 痛み刺激や呼びかけ続けるとかろうじて開眼する |
Ⅲ-100 | 痛み刺激に対し払いのけるような動作をする |
Ⅲ-200 | 痛み刺激に対し手足を動かしたり、顔をしかめる |
Ⅲ-300 | 痛み刺激に反応しない |
JCSは、日本で使われている意識レベル分類で、覚醒度に合わせてⅠ~Ⅲの3段間に分けられ、それぞれさらに3つの段階に分けられている。
短時間で簡単に評価できるため、緊急時に使用しやすい。
E 開眼 | 自発的に開眼 | 4 |
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呼びかけに開眼 | 3 | |
痛み刺激に開眼 | 2 | |
まったく開眼しない | 1 | |
V 言語 | 見当識良好 | 5 |
会話が混乱し、錯乱状態 | 4 | |
言葉が混乱し、不適当な単語を発する | 3 | |
発声はあるが、理解不能 | 2 | |
発声しない | 1 | |
M 運動 | 指示に従うことができる | 6 |
痛み刺激を認識し痛いところに手を持っていく | 5 | |
痛み刺激に対し逃避反射がある | 4 | |
四肢の徐皮質固縮(異常屈曲)がある | 3 | |
四肢の除脳硬直(異常伸展)がある | 2 | |
まったく動かない | 1 |
<合計点>
15点:正常
14点:軽症
9~13点:中等症
3~8点:重症
GCSは、世界的に用いられている意識レベルの評価法で、開眼E・言語反応V・運動反応Mの3つの機能を評価しているため複雑だが、より正確に意識レベルの評価を行えるため、救急や脳外領域での診断や治療の指標として用いられる。
意識障害の原因の6割は頭蓋内病変だが、そのほか4割は低血糖・高血糖、心疾患、肝障害、電解質異常、低酸素血症、精神疾患と幅広い。
そのため、緊急性の高い、頭蓋内病変や心疾患の除外から行っていき、段階を追ってそのほかの疾患の鑑別を行っていく。 意識障害の指標として『AIUEOTIPS(アイウエオチップス)』を用いて原因検索を行っていく。
A | Alcohol | アルコール |
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I | Insulin | 低血糖 |
U | Uremia | 尿毒症 |
E | Encephalopathy Endocrine Electrolytes |
脳炎・脳症 内分泌 電解質異常 |
O | Overdose | 薬物中毒 |
T | Trauma | 外傷 |
I | Infection | 感染症 |
P | Psychosis | 精神的 |
S | SAH/Stoke | 脳血管疾患 |
意識障害がみられたら、バイタルサインとともに、すぐにA(気道)B(呼吸)C(循環)の順に評価を行い、異常があればABCへの対応をまず優先する。
患者のバイタルサインの安定を図りながら行う。
また、意識レベル・神経所見は時間経過とともに、刻々と変化しうるものなので、適宜観察・評価することが大切となる。
ABCの評価を行ったら、簡易測定でよいのですぐに血糖値をチェックする。 低血糖発作による意識障害は、対応が早ければ後遺症はないが、もし対応が遅れると重篤な後遺症を残すこととなる。
低酸素血症やCO2ナルコーシス、酸塩基平行異常、電解質異常をいち早く知ることができる。
バイタルサインが安定し、低血糖を否定した場合、頭蓋内病変を確認するため、頭部CT、必要に応じてMRIを撮影する。
不整脈や虚血性心疾患による意識障害であった場合、原因疾患の治療を早急に行わなければならないため、ABCの安定を図りながら、心電図評価をする。 頭蓋内病変の場合、発症すぐに血圧の低下を伴うことは少ないが、心疾患の場合バイタルサインにすぐに現れるため、ショックや血圧の低下や波形の変化があるときには、心電図検査や心エコー検査は優先的に行う。
薬物検出キットを使った尿検査で、薬物反応をみる。
肝性脳症、尿毒症、感染、電解質異常を鑑別することができる。