横紋筋融解症とは?
横紋筋がなんらかの影響で壊れてしまった状態。
横紋筋ってどこ?
筋肉は大きく分けて2種類。
1、 横紋筋・・・骨格筋と心筋
2、 平滑筋・・・内臓や血管にある筋肉
主に横紋筋融解症は、体の外表面を覆う骨格筋の破壊でおこる。
原因
外傷性
寝たきりによる骨格筋の長時間の圧迫や、事故などの強い打撲や圧迫により横紋筋の挫滅を生じる。
非外傷性
薬剤、アルコール過飲、糖尿病性ケトアシドーシス、感染症、熱中症、脱水などにより生じる。
症状
- 筋肉痛
- 筋力の低下
- 脱力・ 麻痺
- 赤褐色尿(ミオグロビン尿)
※赤いが血尿ではなく、ミオグロビンの色
検査データ
- CPK上昇
横紋筋内にある酵素で、12時間後に上昇を示す。
- ミオグロビン上昇
酸素を筋肉内に送る働きのあるタンパクで、横紋筋内に存在する。
6~10時間後に上昇を示し、このミオグロビンが血中に溶け出すため、真っ赤な尿ミオグロビン尿が出てくる。- カリウムKの上昇
筋肉中に多く存在するカリウムが血中に流出する。
高カリウム血症を引き起こし、命のかかわる場合がある。- AST上昇
- アミラーゼ上昇
合併症
急性腎不全
横紋筋融解症は急性腎不全を合併するため、注意しなければいけない。
所見で説明したとおり、横紋筋が壊れたことで、ミオグロビンが血液に流入する。
そのミオグロビンたっぷりの血液が体循環を経て、腎臓に行きついたとき、ミオグロビンは粒子が大きいため、腎尿細管を閉塞し急性腎不全を発症する。
高カリウム血症
ミオグロビンの影響で、腎不全になるとKが尿中に排出できなくなる他、壊れた筋組織のカリウムが、血中に流出することにより高カリウム血症を引き起こす。
高カリウム血症は、致死性不整脈を引き起こし、突然心停止する危険性があるため、カリウム値の変化を注意深く観察する必要がある。
治療
大量輸液
大量に生理食塩水を輸液し、1時間に100ml以上の尿を保つことで、腎不全を予防する。
電解質補正
高カリウム血症の場合には、GI(グルコース・インスリン療法)を行う。
尿のアルカリ化
重炭酸(メイロン)や炭酸水素ナトリウムを投与し、尿のアルカリ化を図ることで、尿細管障害を予防すると考えられている。(確かなエビデンスはない)
血液透析
重症腎不全(Cr3.0㎎/dl以上)では、一時的に透析を導入することがある。
観察と看護ケア
- ミオグロビンと腎機能(BUN・Cr)上昇に注意し観察する。
- 電解質(特にK)の上昇に注意し観察する。
- 尿道カテーテルを挿入し、尿量・尿の色を観察する。
- 身体症状・ADLの確認と、それに合わせた介助を行う
麻痺症状が現れる場合があり、ADLの低下が予想される。日常動作に介助が必要となることが多いので、ADLの評価とそれに合わせた介助を行う。