腎臓の働きと構造

目次

腎臓の構造

腎臓の位置
背部から見た腎臓の位置

腎臓は第12胸椎から第3腰椎の高さに、左右に1こずつ位置している。ちなみに右腎は肝臓の下に位置し、左腎より3㎝程低い位置にある。
大きさは10㎝×5㎝、そら豆形で、重さは130g程の臓器。

大動脈から枝分かれした腎動脈より血液を供給され1分間に1Lの血液が流れ込む。これは心拍出量の20%にあたり、血流が豊富な臓器なのがわかる。

構造的には、腎実質腎盂腎杯に分かれていて、腎実質は外側の腎皮質、内側の腎髄質から成り、十数個の円錐状に分かれている。

腎臓の解剖生理

腎門と呼ばれる部位は、くぼみがあり、腎動脈や腎静脈、尿管が出入りしている。

腎動脈から流れてきた血液が腎髄質と腎皮質へ運ばれ、尿が生成されると、それが腎杯から腎盂へと集まり、尿管へと流し出される。

尿がつくられる仕組み

血液から尿を作り出す『ネフロン』

腎臓の血流とネフロン

腎臓の血流は、腎動脈が腎実質(腎皮質と腎髄質)へ向かったあと、葉間動脈弓状動脈小葉間動脈輸入細動脈から腎小体へ流れ込む。

腎小体からは尿細管がつながり、『ネフロン』と呼ばれる単位を作る。ネフロンは片腎に約100万個、左右合わせて200万個存在すると言われている。(ただ、実際に機能しているのは、10%の20万個程度。)
そこで、私たちが排泄している尿1日約1.5Lが作られている。

ネフロンの周りには、毛細血管が取り巻き、血液の濾過再吸収老廃物の除去など、生命にとって重要な仕事が行われている。

腎疾患を理解するためにも、重要な働きなので詳しく見ていく。

1、糸球体で、血液から原尿をつくる

糸球体で血液から原尿1日150l/日生成するイメージ


まず、輸入細動脈から腎小体へ送られた血液は、糸球体という毛細血管が毛玉状に集まったところへ流れ込む。
ここで血液がろ過されて、1日約150L原尿となり、周りの袋(ボウマン嚢)からから近位尿細管へと送られていく。

ろ過さなかった血液は輸出細動脈へと流されるが、尿細管周囲を取り囲む毛細血管網をつくり、再吸収したものを受け取り、老廃物を尿細管へ渡したのち、小葉間静脈→弓状静脈→葉間静脈→腎静脈へと流れる。

2、再吸収で、血液中に必要な水分と
栄養を戻す!

尿細管での再吸収と排泄。ホルモンの影響イメージ
尿細管での再吸収と排泄(分泌)

近位尿細管への送られた原尿は、尿細管を通過する間に99%が再吸収され、実際に尿として排泄するのは1%の1.5L /日程になる。

まず近位尿細管では、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、リン(P)、クロール(Cl)、カルシウム(Ca)、重炭酸(HCO₃)などの電解質(=イオン)と、ブドウ糖やアミノ酸など主要な栄養の70~80%が再吸収される。

ヘレンループ~遠位尿細管では、ナトリウムの再吸収やカリウムの再吸収・排泄が行われる。また、副甲状腺ホルモンであるカルシトニンの作用によりCaの再吸収も行われる。

集合管では、アルドステロンの作用により、ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄が行われる。

Naは水を引き連れて移動するので、Naの再吸収=水の再吸収となる。


また、血液の浸透圧が高くなると、下垂体ホルモンのバソプレシン(抗利尿ホルモン)が分泌され、集合菅にあるバソプレシン受容体に作用すると、水分の再吸収を促し、血液を薄めようとする。その結果循環血液量が増え、血圧は上昇する。

※老廃物を尿細管への受け渡すことを正確には『分泌』と言いますが、個人的にイメージが付きにくいので、ここでは『排泄』と記しています!

3、老廃物と水素イオンは排泄(分泌)する!

代謝産物であるアンモニア(NH₃⁻)や水素(H⁺)が血液中から尿細管へ移動し、排泄される。

腎臓の働き

腎臓は体の調子をチェックし、一定の状態に整えるかなり優秀な臓器!

水分・老廃物の除去

前項で説明したように、腎臓では血液を濾過し、尿を通じて老廃物や余分な水分を排泄する。この中で尿素や尿酸、クレアチニン(筋肉の組成物)といった有害物質も除去する。

電解質バランスの維持

カリウム(K)、カルシウム(Ca)、リン(P)などの電解質は、甲状腺ホルモンやアルドステロンの作用により、再吸収または排泄され、調整される。

酸塩基平衡の調整

エネルギー代謝を行うと、酸(H⁺)が排出する。腎臓ではこの酸(H⁺)を中和する重炭酸イオン(HCO3⁻)を再吸収し、余分な酸(H⁺)を尿中に排泄することで、常に血液を㏗を7.4±0.05くらいの弱アルカリ性に保っている。
また、腎臓は二酸化炭素から直接重炭酸イオンを産出し血液中に放出することもできる。

もし呼吸に異常を起こり、CO₂が溜まった場合には、体は酸性(アシドーシス)に傾く。腎臓はそれを察知して、H⁺の排泄を増やすとともに、HCO₃⁻をより多く再吸収して血中のpHを上げようと働く!腎臓の代償機能と呼ばれる。

血圧の調整

輸入細動脈と輸出細動脈、遠位尿細管に接する傍糸球体装置が循環血液量の低下を感知すると、腎臓はレニンと言うホルモンを産出する。

このレニン自体は血圧を上げる作用はないが、アンジオテンシノーゲンという物質をアンジオテンシンⅠに変化させる作用がある。アンジオテンシンⅠはアンジオテンシン変換酵素(ACE)によてアンジオテンシンⅡとなり、このホルモンが平滑筋収縮(血管は平滑筋)させ、血圧を上昇させる。

さらに、アンギオテンシンⅡは、副腎に作用してアルドステロンというホルモンを産出する。
アルドステロンは、尿細管での再吸収で前述したように、Naとともに水分を再吸収し、循環血液量を増やすことで血圧を上昇させる。

ビタミンDを代謝して骨をつくる

ビタミンDは食事から摂取と紫外線を皮膚に浴びることで体内で合成される。そのままでは効果はないのだが、肝臓や腎臓で水酸化されると活性型ビタミンDとなって、さまざまな作用を示す。

活性型ビタミンDは、小腸からのカルシウムやリンの吸収を促進し、骨吸収・骨形成を促進して骨代謝を高める。この働きには甲状腺ホルモンPTHの働きも重要で、カルシウム濃度が低下すると分泌が高まり、カルシウムを骨から血中に取り出したり、腎臓に作用してリンの再吸収を抑制したり、カルシウムの再吸収を促す。
また、ビタミンDの活性化も促進させ、腸管からのカルシウムの吸収を増加させる作用もある。

エリスロポエチンを産出し赤血球をつくる

腎臓ではエリスロポエチンというホルモンを分泌し、脊髄での赤血球の産出を促す。

そのため、腎機能が低下すると、エリスロポエチンの産出が低下し、腎性貧血を引き起こす。

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