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膀胱瘻(ぼうこうろう)とは?

なんらかの理由で尿道からの排尿が困難となった場合に、腹壁から直接膀胱内にカテーテルを挿入し、尿を排泄させる処置のこと。
造設が比較的簡単で、尿道留置カテーテルよりも尿路感染症のリスクが少ない。また挿入による違和感や疼痛が少ないというメリットがある。
膀胱瘻の適応
膀胱の収縮不全
- 神経因性膀胱(脊髄損傷など)
尿道の圧迫・閉塞
- 前立腺肥大
- 前立腺癌
- 尿道の外傷・炎症など
- 尿道結石の嵌頓
膀胱瘻の観察とケア
基本的には、膀胱留置カテーテルの管理・観察と同様。
→『膀胱留置カテーテル(2)観察とケア』を詳しく見る。
瘻孔が完成していれば、滅菌操作や消毒は不要で、正常な皮膚と同様の扱いでよいが、感染予防や抜去予防のために観察と固定はしっかり行う!
皮膚状態の観察
医療機関ごとに期間に違いはあるが、造設術1週間程でシャワー浴、2週間程で入浴可能となる。ドレッシング材をすべて剥がし、膀胱瘻周囲を石鹸の泡でやさしく洗い、よく洗い流す。
膀胱瘻周囲に発赤・浸出液などの感染兆候がないかや、固定テープによる皮膚トラブルがないか観察を行う。
固定の確認
挿入向きに沿って挿入部とカテーテルを固定する。
挿入部はフィルム剤やYガーゼなどで覆い、接続部は皮膚トラブルの原因となるため、ガーゼを巻いて保護しておく。
膀胱瘻カテーテルの交換方法
膀胱留置カテーテルと同様に3~4週間で交換が必要。
用意するもの
- 新しいカテーテル
- 新しい畜尿バック
- 滅菌手袋(または攝子)
- 10ccシリンジ
- バルン用の滅菌蒸留水入りの10㏄シリンジ
- 滅菌ガーゼ
- 消毒(イソジン)
- ゴミ袋
- (ドレッシング材・テープ)
手順
- 患者に処置の説明を行い、ベッドサイドに物品を準備する。
- ドレッシング類はすべて剥がしておく。
- 医師へ滅菌ガーゼと10㏄シリンジを渡す。
- 医師がカフを抜き、カテーテルを抜去する。
- 抜去後のカテーテルをゴミ袋へ入れられるよう介助する。
- 医師へ消毒キットを渡す。
- 医師が滅菌手袋を装着したら、膀胱瘻カテーテルを渡し、挿入していく。
(攝子を使用して挿入するDrもいるので、その場合は先端が不潔にならないよう介助する。) - 抜去前と同じ深さまで挿入する。
- 医師より指示があったら、蒸留水入りのシリンジを接続し、バルンを膨らませる。
- 畜尿バックを接続する。
- 必要であれば、ドレッシング材で保護・固定する。
膀胱瘻のトラブルとその対応
脇漏れしている
ねじれや屈曲・閉塞の有無を確認する。流出に問題はなく、漏れが続く場合には、カテーテル径が細い可能性もあり、医師へ報告する。
漏れで固定や皮膚が湿潤する場合には、ガーゼを当てて固定しておく。
抜去してしまった
看護師は基本再挿入できないため、すぐに医師へ報告する。抜去部は滅菌ガーゼを貼用し、抜去時の状況を報告する。
ただし、医師の診察までに時間がかかる場合には、閉塞してしまう恐れがあるため、医師の指示に基づき、ネラトンカテーテルを挿入し、閉塞を予防する場合もある。
閉塞した
尿量の減少や脇漏れにより閉塞を疑った場合には、医師へ報告する。交換または、膀胱洗浄を行うこともある。