12誘導心電図とは?
12誘導心電図は12方向から心筋の電気活動(電流)を捉えられるもので
四肢誘導で6方向、胸部誘導で6方向から心臓の動きを眺めていることになる。
四肢誘導の見方
まず手足につけた電極でみる四肢誘導の捉え方について。
四肢に電極は4個しかついていないのに、しかも一個(黒)はアースなのに、どうして6方向からも見えるのかというと、双極誘導で3方向、単極誘導で3方向、心臓を見ているから。
双極誘導でⅠ、Ⅱ、Ⅲ
単極誘導でaVf、aVR、aVL
として表される。ちょっと難しい双極誘導・単極誘導という言葉が出てきたが、簡単に言うと、2つの電極(双極)の電位差をみているのか、1つの電極(単極)で電位の大きさを見ているのかの違い。
この2つの誘導により、心臓の動きをさまざまな角度から捉えることができる。
双極誘導
双極誘導は、心臓を挟んで取り付けた2つの電極の電位差で、心臓の電気の流れを表している。
心電図の電気は、電子の流れと同じく、マイナス電極からプラス電極へと流れ、プラスの電極に電気が流れ込むと心電図波形は上向き、逆に遠ざかると下向きの波形になる(上図参照)。
心臓の電気の流れを見てみると、洞結節で発生した電気は、心尖部の方向に向かって流れるため、マイナス電極からプラス電極に向かう電子と同じ方向になる。
そのため、Ⅰ~Ⅲ誘導では、いずれも上向き波形として記録される。
この時、プラス電極とマイナス電極の位置を変えると、心臓の電気の流れと逆向きになるため、波形は下向きとなる。
双極誘導の種類
- Ⅰ誘導:左手(+)で右手(-)からやってくる電気をみる
- Ⅱ誘導:左足(+)で右手(-)からやってくる電気をみる
- Ⅲ誘導:左足(+)で左手(-)からやってくる電気をみる
単極誘導
双極誘導のⅠ・Ⅱ・Ⅲ誘導の電気の通り道が、心臓を中心とする正三角形になっていると仮定したものをEinthoven三角形という。
この三角形の頂点を結ぶ中心をWhilsonの中心点といい、不関電極(電位ほぼ0)となる。
この不関電極から、心臓の外へ流れる電気の差を見ているのが単極誘導となる。双極誘導と違い、+-の関係もないので、不関電極から直接各電極へ流れる電気を記録している。
単極誘導の種類
- aVR:不関電極から右手にくる電気
- aVL:不感電極から左手にくる電気
- aVF:不感電極から左足にくる電気
※aVRだけは、心臓の刺激伝導系の流れと逆方向を向いているので、心電図波形では反転して現れる。12誘導で唯一あまり参考にならない誘導とも言える・・・
胸部誘導
胸部誘導は、四肢誘導で説明した心臓の中心にある不関電極がマイナス電極の役割をしていて、V1~V6の6個の電極はプラス電極になっている。
プラス電極である胸部電極から心臓を水平に眺めていると考えられるので、向かってくる電気は上向き波形、遠ざかってくる電気は下向き波形として捉えられる。
心筋は内側から外側に向かって脱分極するため、前胸部に貼った電極の方向に電気が流れる。よって、V1~V6すべてでP波、QRS波は上向き波形として記録される。
電極が示す部位
V1・V2は右心室側
V3・V4は左室前壁・中隔・心尖部
V4・V5・V6は左室側壁を示す。
例えば、V1、V2に変化があれば、心臓の右側に異常があると考えられる。
電極の貼り方
V1赤 第4肋間胸骨右縁
V2黄 第4肋間胸骨左縁
V3緑 黄と茶の間
V4茶 第5肋間と左鎖骨中央線の交点
V5黒 左前腋窩線上、茶と同じ高さ
V6紫 左中腋窩線上、茶と同じ高さ