1、圧の設定
腹腔内と違い、胸腔内は肺の弾性により、常に陰圧になっている。
そのため、下図にある持続吸引機(メラサキューム 通称メラ)を使用して、生理的な胸腔内圧より強い陰圧をかけてドレナージを行う。
正常な胸腔内圧は呼気時-2~-4cmH20、吸気時は-6~-7cmH2Oといわれていて、通常、吸引圧は-5~-15cmH2Oに設定される。
指示の吸引圧でただしく吸引されているか確認する。
2、ドレーンの接続
ドレーンは接続が緩んでは適切な陰圧がかけられないため、ドレーン同士の接続部には、タイガンやテーピングを行う。
また、持続吸引機とドレーンの接続もしっかりとツメをかけて接続する。
3、ドレーンの屈曲・閉塞
ドレーンが患者の体の下やベッド柵に挟まっていたり、血栓などで閉塞してしまうことがあるため、接続部から挿入部までのドレーンの確認が必要。
また、ドレーンがU字に曲がり、この部分に排液がたまると、その分陰圧が低下するため、適切な陰圧をかけることができない。
もしドレーンが挿入部より高い位置にあると、排液が逆流し逆行性感染を起こす危険性がある。
4、呼吸性移動(フルク)をみる
水封室の水面は、胸腔陰圧が高まる吸気時には、陰圧に引っ張られて水面が上昇し、逆に胸腔陰圧が下がる呼気時には水面が下がる。
水封室の水面の動き以外にも、ドレーン内排液の移動でも観察できる。
フルクあり→正常 ドレーンの閉塞はないと判断。
フルクなし→異常 ドレーンが閉塞
※肺の拡張が正常な場合や、吸引圧が高すぎる場合には、フルクはみられないことがある。
5、気泡(エアリーク)の確認
エアリークは、肺から胸腔に空気が漏れているときみられる。
つまり、気胸のときにはエアリークがあり、エアリークがなければドレーンの閉塞などうまく排気できていない可能性がある。
通常、エアリークは、口から出るはずの呼気が肺から漏れているので、呼気時や、咳をしてもらうと、ボコボコっとエアリークが確認できる。
気胸以外でエアリークがある場合には、外気が入り込んでいる可能性があるため、ドレーンの接続を確認する。
6、排液の性状
手術後の場合
手術操作による臓器損傷に伴う出血により、最初は血性。
その後淡血性→淡々血性→淡黄血性→淡黄色→漿液性に変化する。
100ml/H以上の血性の排液があれば、術後出血、乳白色の変化は胸管損傷による乳び胸が考えられるため、 すぐに医師への報告する。
胸水の場合
漏出性胸水…黄色透明 うっ血性心不全や低栄養
滲出性胸水…混濁 感染や悪性腫瘍
血胸の場合
術後と同様
膿胸の場合
クリーム様の排液から徐々に漿液性に変化し、排液量も減少する。
7、疼痛コントロール
胸腔ドレーンは留置中の疼痛は、横隔膜の運動を妨げ換気量を低下させるため、肺合併症の危険性がある。
適宜鎮痛剤を使用し、除痛を図る。
また、ドレーンの固定が引っ張られると、肋間神経を圧迫するためドレーンの固定方法も本人に苦痛がないか確認しながら行うようにする。