鎮静剤

目次

鎮静剤とは?

中枢神経系に作用し、興奮を抑制する働きをもつ薬。

鎮静剤の目的と適応

  • 麻酔前投薬

麻酔前投薬とは…
主に手術や術後に対する不安や恐怖を取り除く目的で、麻酔導入前に使用される薬のこと。その他にも、麻酔の副作用の軽減、副交感神経反射の抑制を目的として用いられる場合もある。

  • 不安や緊張の除去
  • 不眠症の改善
  • 人工呼吸時の鎮静
  • 苦痛を伴う処置時(内視鏡や骨整復)の鎮静

代表的な鎮静剤とその特徴

ミダゾラム(ドルミカム)

分類:ベンゾジアゼピン系超短時間型
商品名:ミダゾラム

  • 作用発現が早い
  • 持続時間が短い (半減期2時間)
  • 深い鎮静作用、麻酔増強効果あり
  • 鎮痛作用はない
  • せん妄症状を引き起こしやすく、長期投与には向いていない
  • 舌根沈下しやすい

ジアゼパム

分類:ベンゾジアゼピン系抗不安薬(長時間型)
商品名:セルシン・ホリゾン

  • 持続時間が長い(半減期35時間)
  • 筋弛緩作用、抗痙攣作用あり
  • 脂溶性で静注で血管痛、筋注でも強い痛みを伴う
  • 副作用が少なく、安全性が高いとされている
  • 内視鏡検査で最も多く用いられる

プロポフォール

分類:全身麻酔薬
商品名:ディプリバン

  • 鎮静、催眠、抗不安、健忘、制吐、抗痙攣作用あり
  • 鎮痛作用はない
  • 作用発現が早い
  • 投与中止後の回復が速い(作用が遷延しない)
  • 循環動態が変動しやすく、低血圧、徐脈を起こしやすい

特に、前述したベンゾジアゼピン系の薬剤や局所麻酔、降圧剤が併用された場合には、プロポフォールの作用が増強されて循環動態の変動が起こりやすいので注意!!

  • 呼吸抑制作用が強い
  • 1%脂肪製剤で乳化させていて、1ml1.1kcalの脂肪を投与していることになる。そのため、長期投与する場合には、プロポフォールの成分を含めて栄養管理を行う必要があり、またコレステロール値を定期的にチェックする。
  • 脂肪乳剤は細菌が繁殖しやすいため、感染防止のため、輸液ラインを12時間おきに交換することが推奨されている。

フルニトラゼパム

分類:ベンゾジアゼピン系睡眠薬
商品名:ロヒプノール/サイレース

  • 強い睡眠作用あり
  • 持続時間が長い(半減期24時間)
  • 鎮痛作用はない
  • 投与時の血管痛がない

デクスメデトミジン塩酸塩

分類:中枢性α2アドレナリン受容体作動薬
商品名:プレセデックス

  • 持続時間が短い(半減期2時間)
  • 副交感神経を刺激し、生理的な睡眠を誘発
  • 鎮静作用は弱く、刺激に対して容易に覚醒する
  • せん妄が出現しにくい
  • 呼吸抑制がほとんどない
  • 一過性の血圧上昇に続き、低血圧を伴う徐脈を起こすことがある
  • 不整脈など重篤な循環動態の変動を起こすこと危険性がある

与中はモニター装着し、房室ブロックなどの不整脈に注意する!

ペンタゾシン

分類:非麻薬性鎮痛薬
商品名:ソセゴン・ペンタジン

  • 強い鎮痛作用あり
  • 作用時間が短い(半減期1時間)
  • 呼吸抑制を起こすことがある

ソセゴンは、ガン性疼痛など強い痛みの鎮痛目的のほか、内視鏡検査では苦痛の軽減目的で前投薬としてよく用いられる薬。
鎮静剤というより鎮痛剤だが、鎮静剤と同様に呼吸抑制など重大な副作用が出現する可能性があるので合わせて覚えておく!

鎮静剤の主な副作用

呼吸抑制による低酸素血症

呼吸中枢の抑制により、呼吸運動が抑制されて低酸素血症を招く危険性がある。

舌根沈下による上気道閉塞

鎮静剤の筋弛緩作用(筋肉の緊張を和らげる作用)により、舌根が落ちて気道閉塞を起こすことがある。

誤嚥

咳反射の抑制により唾液や吐物を誤嚥することがある。

転倒

覚醒し意識清明になったとしても、下肢の脱力やふらつきがみられることがある。

血圧変動、徐脈、不整脈

交感神経の抑制、副交感神経の亢進により循環動態にも影響を及ぼし、血圧低下や徐脈、まれに不整脈を来たすことがある。

覚醒遅延

鎮静剤投与後3~5時間後に再度眠気、注意力、反射運動力の低下をきたることがある。

健忘

直前の記憶が消失することがある。(特にベンゾジアゼピン系の薬で起こしやすい)

静脈炎・血管痛

浸透圧が高いジアゼパムなどでは、投与時に血管痛・静脈炎を起こすことがある。通常、一過性だが、数日痛みが持続することもある。

セデーション時の看護ケア

呼吸状態の観察

鎮静剤使用時は、前述したように呼吸抑制や舌根沈下などの重大な副作用を招く恐れがあるので、完全に覚醒するまではパルスオキシメーターを装着し、顔色や呼吸数、SpO2値、胸郭運動などを注意深く観察する。

舌根沈下を起こしていれば覚醒を促したり、下顎挙上法を行い気道の開通を図り、それでも気道確保が困難な時には、エアウエイの挿入拮抗剤の投与を検討する。
呼吸数が少なければ、深呼吸を促し、それでも低酸素血症に改善がない場合には速やかに酸素投与を、それでも改善しない場合には拮抗剤の投与を検討する。

循環動態の観察

血圧低下や徐脈、まれに不整脈をきたすことがあるため、心電図モニターを装着して、モニタリングを行い、血圧も定期的に測定する。

鎮静剤の循環動態への影響は、神経反射によるものが多く、深呼吸や酸素投与により改善することもあるが、それでも改善がみられない場合には輸液や薬剤投与を検討する必要がある。

安静の確認

鎮静剤使用後は、覚醒に時間がかかるため、1~2時間の安静が必要となることを患者に説明しておく。
覚醒したとしても、ふらつきやめまいが残ることもあるので、最初の歩行時は必ず付添うよう伝え、転倒・転落にも十分注意する。

副作用・覚醒遅延のリスクを確認

高齢者や肝障害、腎障害がある患者は代謝・排泄能力が低下するため、作用・副作用が強く表れる危険性がある。
患者の年齢や既往歴、血液データなどを前もって情報収取しておき、副作用や覚醒遅延のリスクを把握しておくことも大切となる。

投与時は出来るでけ太い血管にゆっくりと

水に難溶性の薬(ジアゼパムやプロポフォールなど)は、急速あるいは細い血管に静注した場合には、血管痛を伴い静脈炎を起こすことがあるため、出来るだけ太い血管を選び、ゆっくり投与する。

【補足】薬の半減期とは?作用時間とは違うの?

薬は投与後に血中に入り、効果を発揮する。そして、時間の経過とともに肝臓や腎臓で代謝・排泄されて、徐々に薬の血中濃度は下がっていき、やがて効果はなくなる。
半減期とは、この代謝・排泄により、薬の血中濃度が半減するまでにかかった時間を示している。

例えば、下図のように半減期が4時間の薬の場合、ある時点で血中濃度が『10』あったとすると、そこから4時間後には血中濃度が半分の『5』になっている。
さらに、4時間後には半分の『2.5』になっている薬だということがわかる。

薬の半減期とは?

決して血中濃度が半分になったからといって、作用・効果がなくなるとは一概には言えないが、血中濃度が半分になったときには、薬の作用も薄れてきていると言えるので、半減期は『作用時間の目安』として考えられる。

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