脳の一部の血液供給が、一時的あるいは永久的に減少・消失することにより、神経細胞の不可逆な変化(細胞壊死)をきたした状態。
原因や病態により、アテローム血栓性脳梗塞・ラクナ梗塞、心原性脳血栓症の3つに分類され考えられる。
動脈硬化などで血管内に発生したアテローム(脂肪のかたまり)により、脳の動脈が狭窄or閉塞し、脳実質の壊死を起こした病態。
内頚動脈の起始部や中大脳動脈をはじめとする主幹動脈に多く発生する。
比較的太い血管が閉塞するため、病変が広範囲に及ぶことがある。
主幹動脈とは、脳を血流する複数の太い血管の総称で、下図の動脈が含まれる。
さまざまな基礎疾患により、心臓(左房・左室)で作られた血栓が、脳動脈に流れてきて血管を詰まらせ発症する。
特に好発部位はないが、比較的太い血管に血栓がつまるため、広範囲に脳細胞の壊死が起こり症状が重くなりやすい。
画像所見としては、皮質や脳深部で梗塞が認められることが多い。
小さい脳梗塞のことで、400μm(0.4mm)以下の細い脳動脈の閉塞によるものをいい、『直径15mm以下の梗塞』と定義されている。
血管変性や動脈硬化により、毛細血管がさらに細くなり起こる。
そのため、アテローム血栓性脳梗塞と同様の危険因子が上げられる。
ラクナ梗塞とは、穿通枝(せんつうし、穿通動脈とも言う)が詰まることで発生する脳梗塞。穿通枝とは、主幹動脈から枝分かれする細い血管で、脳の深くを血流している。
つまり、穿通枝が栄養する領域である、大脳基底核・視床・脳幹などで脳梗塞が起こる。
小さいため症状が現れない場合も多く(無症候性脳梗塞)、現れても神経症状は軽く、意識障害や大脳皮質症状を伴うことはない。
しかし、何度もラクナ梗塞を繰り返すことで、多発性脳梗塞を起こし、片麻痺や認知症を発症することがある。