今こそ確認!スタンダードプリコーションと感染経路別予防策

目次

感染管理の基本原則

自分たち医療従事者を病原体から守り、院内感染を防ぐために必要な原則は、すべての患者に適応される『標準予防策(スタンダードプリコーション)』と、病原体の感染経路に応じて実施される『感染経路別予防策』となる。

標準予防策(スタンダードプリコーション)とは?

スタンダードプリコーションイメージ図

標準予防策は、感染症の有無に関わらず、すべての患者に常に実施される感染予防策。

標準予防策の目的は、血液汗を除く体液分泌物排泄物、落屑物、粘膜は、感染リスクがあるものとして対応することで、医療従事者と患者を守り、感染拡大を防ぐこと。

標準予防策は主に8つ!

手指衛生

手指衛生は、感染予防策の柱!

患者や医療器具に触れる前後に流水と石鹸を用いる手洗いやアルコール消毒を徹底する。これにより、手指を介した感染の広がりを防ぐ。
WHOは、医療現場における感染予防のために、「手指衛生の5つのタイミング」として以下のタイミングで行うことを推奨している。

手指衛生の5つのタイミング
  • 患者に触れる前
  • 清潔操作の前
  • 血液・体液に触れた後
  • 患者に触れた後
  • 患者周辺のものに触れた後
手洗いとアルコール消毒のタイミング

目に見る汚染がある時➡石鹸と流水で手洗い
目に見える汚染がない時➡アルコール消毒

個人防護具(PPE)の使用

手袋、ガウン、マスク、ゴーグルなどの防護具を状況に応じて使用する。これにより、医療従事者が患者の体液などに触れるリスクを減少させる。

PPE使用する場面
手袋血液や体液、排泄物、損傷した皮膚に触れる可能性がある時。
例:創処置、オムツ交換、口腔ケア
エプロン
ガウン
血液や体液、排泄物が衣類に付着する可能性がある時。
例:ドレーン排液破棄
マスク血液、体液、排泄物が口や鼻に飛沫する可能性がある時。
例:オムツ交換、Pトイレ洗浄時
ゴーグル
フェイスシールド
眼に血液、体液が飛沫する可能性がある時。
例:喀痰吸引
個人防護具の使い方

PPEの着脱手順はこちら
『個人防護具(PPE)の着脱手順【イラスト院内掲示フリー】』

咳エチケット

飛沫感染を防ぐため、患者と医療者双方が咳エチケット(マスクの着用、ティッシュや肘での口元のカバー)を徹底する。

患者ケアに使用した機材・器具・機器の取り扱い

可能な限り使い捨て機器を使用し、再利用する場合には適切な消毒や滅菌を実施する。また、感染リスクが高い患者には専用の器具を用いて他の患者との共用を避けることが重要である。

周辺環境の整備

患者周囲の環境や医療器具の表面を定期的に清掃し、体液や血液で汚染された場合には、速やかに適切な消毒を行う。これにより、間接的な感染リスクを減少させることができる。

リネン類の取り扱い

患者の体液や血液に汚染されたリネンは慎重に扱い、適切な防護具を着用した上で収集し、消毒処理を行う。清潔なリネンと汚染されたリネンを混在させないようにすることが重要である。

患者配置

感染リスクがある患者は可能な限り個室に収容し、感染経路に応じて飛沫や接触を避ける対策を取る。特に空気感染を防ぐためには陰圧室が適用されることがある。

鋭利な器具の管理

針刺し事故のリスクを避けるため、リキャップなどはせず適切な手技で実施する。使用済みの注射針やメスは使い回しせず、専用容器に廃棄する。

感染経路別予防策

感染予防策は、病原体の「感染経路」に応じて追加される予防策。
感染経路は主に「接触感染」「飛沫感染」「空気感染」に分類され、主に次のような予防策が実施される。

接触感染予防策

接触感染

接触感染は、感染者や汚染物に直接・間接に触れることで病原体が移動し、さらに目、口、鼻に触れることで感染する。医療器具や手指を介した感染が多い。
そのため、接触感染の予防には、手指衛生や環境の清潔保持が重要となる。

接触感染する感染症例

  • MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
  • ノロウイルス
  • 緑膿菌感染症

実施すべき対策

  • 手指衛生:患者との接触前後や、汚染物に触れた後は必ず手洗いやアルコール消毒を行う。
  • 手袋・ガウンの着用:患者の体液や分泌物に接触する可能性がある場合は必ず使用する。
  • 専用物品の使用:患者ごとに血圧計や聴診器などを使い分けるか、使用後に適切に消毒する。
  • 環境の消毒:ドアノブ、ベッド柵など多くの人が触れる場所を定期的に消毒する。

飛沫感染予防策

飛沫感染

感染者の咳やくしゃみ、会話によって飛び散る小さな体液(飛沫)が他の人の粘膜(眼、鼻、口など)に付着することで感染する。
飛沫は比較的大きいため、患者との距離を1~2メートル保つことや、マスクやゴーグル、フェイスシールドの着用が推奨される。

飛沫感染する感染症例

実施すべき対策

  • マスクの着用:医療従事者および患者はサージカルマスクを着用する。
  • 患者の配置:可能であれば患者を個室に配置する。複数人部屋の場合は患者同士の距離を1〜2メートル以上保つ。
  • 面会者の管理:面会者にもマスク着用を促し、必要に応じて入室制限を行う。
  • 換気の徹底:飛沫がこもらないよう定期的に室内の換気を行う。

厚生労働省や環境省のガイドラインによると、換気は1時間に2回(30分に1回)程度行うことが推奨されている。窓がある場合は対角線上に窓を開け、窓がない場合や換気が不十分な部屋では、空気清浄機や扇風機を使用して空気を循環させる。

空気感染予防策

飛沫感染

空気感染は、病原体を含む飛沫核(5マイクロメートル未満の微細な粒子)が空気中に浮遊し、長時間感染力を持ちながら拡散する。それを他者が吸い込むことで感染が成立する。

拡散範囲は、換気が不十分な閉鎖空間では数メートル以上に広がることがある。また、空調設備を介して建物内で拡散するリスクもある。

そのため、厳重な感染予防策が必要となる。

空気感染する感染症例

実施すべき対策

  • N95マスクの着用:医療従事者はN95マスクなどの高機能マスクを着用する。
  • 陰圧室の使用:空気感染する患者は陰圧室に隔離し、部屋の空気が外部に漏れないようにする。
  • 面会者の管理:空気感染のリスクがあるため、面会は最小限に抑える。
  • 換気システムの整備:陰圧室以外の病室でも換気を促し、空気の滞留を防ぐ。

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